連載3.『透佳ノート – 英語嫌いのための中学英文法』

透佳ノート英語嫌いのための中学英文法Sumika’s Note: J.H.S. Grammar For Those Who Don’t Like it.』

実際に学習塾の授業で使っていたノートから生まれた、
英語嫌いの・英語嫌いによる・英語嫌いのための
シンプルで分かりやすい中学英文法解説。

Prologue: あなたが英語嫌いになったのは、「英語好き」の書いた本を読んできたから。

あなたはこの連載を読む前に、

数多くの学校教科書・参考書・文法書に触れてきたことだと思います。

その上で

「何を言っているのかが理解できない」

「せめてもう少しシンプルに・すっきりと説明してほしい」

「もっとゼロからでも分かるようなものがほしい」

と嘆いてきたことだと思います。

私も小中学生向けに塾講師として働いていた頃、

生徒たちの大半はそういった「英語嫌い」の子たちでした。

では、なぜ世の中の教科書・参考書・文法書は分かりづらいのか。

その理由はすごく簡単です。

それらを書いている人は、英語が大好きだからです。

そういう本を書くということは、

「英語」という科目を職業にしたということです。

もし英語が嫌いだったら、絶対に英語を仕事にはしないでしょう。

ただでさえ英語を仕事にしている中で、

その中でとりわけタフな「英語の教材」を好き好んで書くわけです。

英語が好きかつ得意でなければ、到底耐えられる仕事ではありません。

三度の飯より英語学習が好きだ、

休日にはオンライン英会話・海外の映画やドラマが息抜きという人たちです。

そういう人たちが書くことが大半なのですが、

そこには一つの「問題」が生まれます。

私も以前、英会話の教材編集に携わったことがあるのでよく分かるのですが

好きな人というのはつい、好きな人「基準」で書いてしまうのです。

嫌いな人からしたら

「こんなに要らないよ」

「そんなに深いところまで興味ないのに…」

という情報も含めて、

「でもこれは絶対に知ってほしい」

「英語ってこんなに楽しいんだよ」

とつい熱くなって本の内容に入れてしまうのです。

(編集者も編集者で「英語好き」なので、誰も止める人がいません)

そんなテンションで書かれた数々の本や教材は、

「英語好き」の人にとってはまさに天国です。

ほしい情報は全て載っているし、かなり深い所まで載っていて役に立ちます。

ですが、こと「英語嫌い」にとってこれは地獄です。

野菜なんて嫌いだから野菜ジュース一本で済ませたいのに、

「でも採れたての野菜は絶対美味しいから」

「身体にいいよ、健康にいいよ」

と無理矢理生野菜を口に突っ込まれるようなものです。

そこでこの連載は、

野菜嫌いの人が「これならまあ飲める」と飲む野菜ジュースのように

英語嫌いの人が「これならまあ読める」と読む参考書を目指しました。

余計な情報や「奥深さ」「英語の面白さ」なんてものは、一切排除しました。

私が教えていた「英語嫌い」の子たちに

いかに飲ませるか・定着させるかを毎日考え抜いた上で、

この「透佳ノート」が生まれました。

こんな連載を書くのにあまり大きな声では言えないですが、

実は私も英語があまり好きではありません。

中学の最初の英語のテストでは30点を取りましたし、

海外留学を4年経験しても、英語講師を経験しても、

英語にはまだまだ分からないことだらけだからです。

そんな私だからこそ書けるものがあるはずです。

ぜひ、これまでとは違った英文法の勉強をしてみてください。

 

2021年12月吉日 透佳(スミカ)

 

『透佳ノート』の特徴

実際の授業から生まれました

私は塾講師の頃、生徒に板書の写しをさせませんでした。
英語嫌いの子にとって、板書の写しは全く意味がないからです。
よく分からないものをただ言われた通り写して、「ああ疲れた」で終わりです。

英語嫌いの子にとって大切なのは、
最低限必要な知識を整理した上で、さっさと問題演習に入ることです。
「これはこうやって使うんだな」「ここでこの単語にこれをつけるんだな」
と正答を導くことを通じて、初めて文法理解が強固になります。

そこで私は、授業の内容をいちいち板書する代わりに
その内容をA4一枚のプリントに全てまとめて生徒にそのコピーを配布していました。
これが通称『透佳ノート』と塾で呼ばれていたものです。

この授業のやり方は生徒にも好評で、
「余計な手間が減ったのに、今までよりも分かりやすい」
「問題の解き方がよく分かる」という声を多く頂いてきました。

今回の連載の『透佳ノート』は、
そのプリントをブログ向けに再編集したものとなります。

分かりやすい

『透佳ノート』の相手は英語嫌いの中学生です。
「分かりづらい」「よく分からない」と言われた瞬間に全てが終わります。

そこで『透佳ノート』は、無駄な情報・言い回しを一切省いて
シンプルに結論を言い切る」ことを一番大切にしています。

短い

そのため、英文法解説としてはかなり短いものになるかと思います。
本当に必要最小限のことしか載せない・書かないからです。

実際に塾で使用していたプリントも、
一単元あたりA4一枚で全ての内容を収めきっていました。

網羅しない

これも他の参考書・文法書と大きく異なる点ですが、
『透佳ノート』は「漏れなくダブりなく」を目指しません。

私が教えてきた限り、「英語嫌い」の子は
何か文字や情報が入っていたら全て目に入ってしまいます。
それが「最小限」の情報ではない、補足や「ついで」のものだったとしても。

そこで『透佳ノート』は、「必要最小限」を目指して
より詳しい情報・網羅性は他の参考書・文法書に譲っています。
例えば、過去形の不規則変化動詞を全て載せるようなことは避けています。

その為、「これのもっと細かいことが知りたい」
「もっと例がほしい」となったら他の本や教材を調べてみてください。

 

目次 Content

順次、更新予定です。

Chapter 1: 中学1年生

  1. I am You areの文
  2. I am not Are youの文
  3. This is / My name isの文
  4. This is not / Is that / What isの文
  5. He is Who isの文
  6. 一般動詞①-1
  7. 一般動詞①-2
  8. 名詞の複数形
  9. 代名詞の複数形
  10. 形容詞・副詞
  11. 命令文
  12. canの文①
  13. canの文②
  14. 一般動詞②
  15. 代名詞の目的格
  16. 所有代名詞
  17. 時刻・曜日・日付
  18. 様々な疑問文①
  19. 様々な疑問文②
  20. 現在進行形
  21. 規則動詞の過去形
  22. 不規則動詞の過去形
  23. be動詞の過去形

Chapter 2: 中学2年生

  1. 過去進行形
  2. 未来の文
  3. 助動詞
  4. There isの文
  5. 名詞・冠詞
  6. 付加疑問文・否定疑問文
  7. 不定詞
  8. 動名詞
  9. 接続詞①
  10. 接続詞②
  11. 文型
  12. 形容詞・副詞
  13. 比較①
  14. 比較②

Chapter 3: 中学3年生

  1. 受動態
  2. 現在完了形①
  3. 現在完了形②
  4. 不定詞①
  5. 不定詞②
  6. 動名詞
  7. 分詞
  8. 関係代名詞①
  9. 関係代名詞②
  10. 間接疑問文
  11. 仮定法

※ 目次はこれにて一旦最終・最新版です。

 

プロフィール Profile

透佳(スミカ)

ライター。
神奈川県川崎市出身。
米・南ミシシッピ大学(University of Southern Mississippi, 通称USM)教養学部教養学科卒。

アメリカでの4年間の海外留学の後日本に帰国。
英会話スクールスタッフ、都内学習塾英語講師を経て現在は静養中。
学習塾では小中学生向けに集団授業・個別指導含め一教室の全ての英語科の授業を担った。

これまでの従事に加え2016年より個人運営しているブログ『Ms. Grumble』を通じ、
『全ての日本人の英語力を、「自分より高い水準」にアップさせること』というミッションの元
英語学習や海外留学を中心に数多くの対話・指導、また執筆を重ねている。

著作にメイン執筆として携わった『3択!イメトレ英会話』(オープンゲート)、
連載『最高の留学のつくり方』『親御さんには絶対に教えない学習塾のホンネ』がある。

TOEIC L&R 925点・英検準1級取得。

 

参考文献 Reference

  • 『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』 KADOKAWA 関正生
  • 『カラー改訂版 世界一わかりやすい中学英語の授業』 KADOKAWA 関正生
  • 『新中学問題集 標準編(1年〜3年)』 教育開発出版
  • 『すべての日本人に贈るー「話すため」の英文法 一億人の英文法』 東進ブックス 大西泰斗/ポール・マクベイ
  • 『Z会 中学英文法 Fine』 渡辺いづみ監修 Z会出版編集部著

 

追伸 From the Writer

『そんなに教科書より良いやり方があるのなら、
さっさと本にまとめてベストセラーにでもすればいいよね笑』

今回の連載は、私の塾講師時代に私の授業の仕方について

人をバカにした目でこう嫌味を言ってきた先輩講師に捧ぐ連載です。

お望み通り、ベストセラーにさせていただきます。全ての出会いに感謝。

 

…筆者、透佳(スミカ)

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