「発音矯正とは言うけれど」experienced。

ノンフィクション – experienced

「日本の英語教育最大のミスってなんだと思う?」

聡明な甲に
乙は専門分野の話を一つしてみた。

「何それ。
色々あるとは思うけど、
…一つに絞らないとダメ?」

「うんそうだね、敢えて一つにしようか」

甲は数秒考えた後、視線を乙に戻した。

「そうね、基本私は
日本の英語教育はかなり優秀だって考えてるの。
ただし、『正しい発音を教えない』点以外はね」

「ほぉ、やっぱり発音か」

「ええ。だって、
教える側がどれだけ発音を理解しているのかも怪しいのに
それを素人の子供に教えようとするだなんて
色んな意味で恐ろしい制度よ」

「やっぱり、甲の目から見ても
英語講師の教える腕には疑問符なの?」

後に甲は英語教師の教師免許を取っている。

「だってこの国って、
本当に英語ができる人は
わざわざ教える側に回らずに
自分で英語を使って活躍するほうが普通だもの。
英語教師はその残りカス、ってわけ」

「そりゃあやられたな。私もだもん」

「まあ乙ぐらいになれば
だいぶ教え方も熟練されてるだろうけど、
そもそも相手に頑張って理解してもらえないと
聴き取れないような英語を話してる人が、
『俺は結構イケる』って勘違いしてる節があるのよね」

確かに乙の留学経験からも、
相手の外国人に頑張ってなんとか聞き取ってもらえているのを
「英語が通じた!」と盛り上がっている留学生は多かった。

「そういう変な自信がある人が、
正しい発音の方法を調べないか
調べようという発想がないのか知らないけど、
自分の方法をそのまま教えちゃう訳。ないし教えない」

無知は恥だが、誤知はその10倍厄介である。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「発音矯正とは言うけれど。」

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