「成文化するということ」experienced。

ノンフィクション – experienced

「そう、例えばブロガーって
その日あったモヤモヤをネタにして
『成仏させる』みたいなのあるよね笑」

「そうだね。
ある意味ブログの一目的でもある」

甲と乙はいわばブログ仲間だった。

「ブログ始める前はさ、
何か嫌なことがあったら人に話さないと
鬱憤が溜まったままだったんだけど、
ブログという手段が生まれてからは変わったの」

「いいことじゃん。
大体、嫌なことを周りに言ったところで
何も変わらずに時間だけ過ぎていくわけで」

周りにいるような人間、という意味で。

「そうそう。
でさ、確かとあるお笑い芸人が
昔テレビでこんなことを言っててさ」

「ほう、どんなこと?」

「『生活全てが笑いのネタになる』だってさ。
どんな辛いことがあっても悲しいことがあっても、
それでネタになると思えば
売れない時期も楽しかったんだってさ」

その芸人は確か『二発屋』として有名だった。

「まあ、その通りだよね。
その場で吐き出したらそこで消えちゃうけど、
成文化したら半永久的に残るからね。
そういや、私の師匠も似たことを言ってたな」

「え、教えて」

「『カチンときたら換金できる』」

これは本当の話である。

「えっ、どういうこと」

「甲さ、さっきブログを書くことを
『成仏させる』って言ってたじゃんか」

「うん」

「それってどういうこと?」

「ええと…なんていうか、
愚痴を愚痴のままに終わらせるんじゃなくて
ハッピーエンドで終わらせるって感じ」

「そう。それ。
嫌なことをハッピーエンドにすると、
読んでる人はどんな気持ちになる?」

「幸せになる!」

「それで…」

半ば誘導尋問になってしまったが、甲は気づいたようだ。

「あーね。
そういう嫌なことって誰にでも起きうる。
そういうのを『でもこうなりました!』って
ハッピーな物語を書いてあげると幸せになるのね」

「そう。
それを私達はブログでやってて、
それが本の執筆になる場合は換金できる」

お互いに作家志望だった。

「なるほどね…」

「そういうこと。
だから成文化ってのは大抵『正しい』」

「モヤモヤしたものを形にして
しかもハッピーエンドにすると、
そこに人とお金が集まってくる。
あなたの師匠がいかにも言いそうなことね」

今日は先回りされたようだ。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「成文化するということ。」

【追伸】
見えないものは誰だって怖い。
それを見えるものにするように魂を吹き込む。
それがライターというものだと思う。

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