「本とか、スマホの勉強アプリとか
実際に英会話教室に行ったりオンライン英会話とか…
そういうのじゃなくて、もっと毎日気軽に
続けられるような英語の勉強って、ありません?」
「まあ、贅沢な悩みだね。
まあ目標にもよると思うけど、
甲さんはどうして英語を学ぶの?」
まあ贅沢な悩みだ…と心の中で思わずに
相変わらず口に出してしまう乙の
今回のコンサル相手は甲だった。
「そりゃあまあ…
英語があれば仕事でも便利ですし、
海外旅行とかも行けるようになりますから」
「仕事で便利…っていうのは?」
「まあ…例えば、
英語圏の方と仕事ができるようになったり
TOEICのスコアが取りやすくなったり」
「そう…したいんですね」
「したい…というか…うーん…」
こういう類の動機しか持ち合わせていない
英語学習者が増えている…というのは今回は余談である。
「まあ、その辺は追々詰めていくとして。
じゃあ、今この瞬間から始められる
とっておきの英語学習法があります」
「何ですか!ぜひ教えてください」
乙は目の前のテーブルに置いてあった
コーヒーカップを静かに持ち上げた。
「では…これは英語でなんて言いますか?」
「えっと…’coffee cup’じゃないんですか?」
「正解。
じゃあ『コーヒー一杯は』?」
「えっと…’one cup coffee’…ですかね」
「はい、お持ちのスマホで調べてみましょう。
それが学習です」
甲は日頃扱い慣れたフリック入力で検索する。
「えっと…あ!’a cup of coffee’ですね!」
「そう。coffeeそれ自体は数えられないから
a cupをつける…なんて知識は後付けでいいよ。
とりあえずこうやってどんどん数を積んでいくこと」
「なるほど」
畢竟、生活の周り全てが教材である。
「じゃあ次、これ」
乙が次に手にとったのは、
白濁の液体が入った小さなプラスチックの
ラベル付きカップだった。
「それは…『コーヒーフレッシュ』、ですよね」
「うん、それ、和製英語なんだよね」
「えっと…つまり『ガソリンスタンド』みたいな」
「そうそう。
日本人の英語学習最大の弊害ね。
英語だと思ってるけど実は全く伝わらない、と」
まあ身も蓋もない言い方をしてしまえば
『コーヒー』も和製英語と言えばそうだが。
(発音は「コーヒー」ではなく「カァフィ」)
「えっとじゃあ…英語ではなんていうんですか?」
「creamerだね」
「くりーまー…全然違うじゃないですか!」
はい、正しい知識が一つ増えた。
…筆者、スミカ(Rick)
【追伸】
「より正しい知識や真実が知りたい」
という知的好奇心は本能欲求に近いパワーがある。
それならば素直に従うのが正しいということだ。
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