「英語力とはこじつけである」experienced。

ノンフィクション – experienced

「でも、乙が今やってる仕事って
乙が入社当初やりたいです!って言ってた
英語指導とはちょっと離れちゃってるのかな」

乙に新卒入社のキッカケを作ってくれた
その会社の上司・甲とランチをとっていた。

「いえいえ。そんなことないですよ。
色んな世界を見れるってありがたいことですし、
むしろ関係ないなんてこともないですよ」

「ほう。どんな感じで?」

「こういう外国人が多い職場で、
異文化・異言語間でのスムーズなやり取りや
それを支える翻訳・通訳の仕事って、
まさに英語指導に活かせるじゃないですか」

乙の業務は多岐に渡っていたが、
その内の一つが翻訳だった。

「なるほどね。
確かに英語指導っていうのは、
英語そのものを指導するのもそうだし
英語の文化とか…そういう周囲も扱うんだよね」

「仰る通りです。
英語指導っていっても、
本当に英語だけ教えてるようじゃダメですよ。
英語を使う人のナマの気持ちもセットにしてこそです」

言語とは文字通り、
コミュニケーションにおける潤滑油であり血液である。

「お、乙すごいいいこと言ってくれた。
今、僕も何かしらの形で
『何かを教える』仕事をしている訳だけど、
その分野『だけ』に精通しているだけだと
これからの時代は厳しいんだよね」

「なるほど…」

「じゃあ、例えば…」

甲がテーブルの上に置いてあった爪楊枝を手にとった。

「乙で言えば、
『これ(爪楊枝)は英語で何ていうんだろう』って
なるのが本当の英語学習だし、僕の世界なら例えば
『これのビジネスモデルはなんだろう』
『誰に売って、誰が買って、相場はどのくらい』
みたいな話になるわけだね」

「なるほどです…
本当にそのものだけを見るんじゃなくて、
それを通じて色んな要素を考える、ってことですよね」

「そういうこと。
何事もそうだけど、
どうしても現象面を見ているだけじゃ
物事の本質には迫れないからね」

やはりこの人とは波長が合う、と乙は微笑んだ。

「そうですね。
…あ、そういえば近い話で
こんな話を思い出したんですけど」

「どんな?」

「『夢は凧』って話ですね。
直接関係ないように見えても、
大きな視点で見るといずれ繋がっていくものだし
またそう繋げていくのが人間の役目だ…
っていう、スタンスの教訓ですね」

「お、それいいね。
次のプレゼンのネタにしよう笑」

しっかり次の仕事に活かす甲だった。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「英語力とはこじつけである。」

【追伸】
『生活全てが禅である』という箴言もある。
与えられた教材に取り組むのも勉強だが、
教材を自ら見つけ出す・創り出すのも一興である。

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