以前、学校の先生をやっていた友人の甲に
乙がこう尋ねてみたことがある。
「ねえ甲、
学校の国語の授業とかでよく『音読』ってあるじゃん。
あれって一体何の意味があるの?」
「意味って…そりゃあ、
みんなにちゃんと理解してもらうためだよ」
「理解してもらうためだったら、
わざわざあんな晒し爆弾ゲームするんじゃなくて
プリントでも用意して読ませた方がいいんじゃないの?」
「…乙、
俺がもしまだ教師やってたら
絶対言っちゃいけない真実を教えよう」
「ほう」
甲がようやくその気になってくれた。
「だって、回し読みで音読させるなんて
あれほどラクかつ
あれほど教師が『教えてる気分』になれる方法もないじゃんか」
「やっぱそういうことか…」
「そりゃあそうだよ。
だって乙、本当に教育者として燃えてるヤツが
学校の先生なんかになると思うか?
そういう人もいるかもしれないけど、少数派だよそんなん」
「多数派は?」
「正直に言って、『それにしかなれなかった』層」
こう言われればあとは自然に察することができる。
「なるほどね…
確かに音読って、実際何も教えてないよね。
でも『授業』という体裁は保つことができる」
「そう。いっちゃえば音読なんて
生徒それぞれが勝手にやってればいい。
学習効果だけを考えるんならね。
皆が集まる場でなぜわざわざ音読なんてするのって話」
「…教師の為?」
「そう、結局教師の為なんだよ。自己満」
乙自身も、音読の時間は
どこか生理的に不愉快だったのをよく覚えている。
「…で、効果は?」
「ないよ、そんなもん。
正直あれば静かに座ってもらうための方法」
「…でもさ、にしては
国語の授業のみならず英語の授業でもやるよね」
「ああ、それは…」
甲は確か国語と英語の教免を持っていた。
「本来あるべき『英語学習の音読』は全く別物。
本当は正しい発音あってこその音読なのに、
中学一年生の時点で半数が捨ててる教科が英語だから
そんな奴らに対して正しい発音が云々とか言っても無意味なの」
「確かに、英語って
数学とか物理ほどではないにせよ
学校内だとスコアの幅が広がりやすいよね」
「そう。
俺も今この仕事について改めて実感してるけど、
正しい発音が身についていれば音読は効果バツグン。
まずはそれを身につけるのが大変ってだけで」
甲は現学習塾講師だった。
…筆者、スミカ(Rick)
【追伸】
目標は正しく設定することだ。
そして日々の学習と毎日照らし合わせることだ。
それらがない学習はただの作業。
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