W.A. #18『英語の長文読解を克服するには?』

Word. Answer.

英語の長文読解が苦手です。
日本の学校の英語の授業でよくあるような
長文読解とは名ばかりのスキャン読み?とは違い、
「文章全体の大元を掴む力」に欠けています。
留学を志す以上、
読む文章の絶対量もこれから増えていくので
今からどうしようかと悩んでいます。

(埼玉県・学生・Uさん・女性・16歳)

Uさんもお気づきの通り、
日本の教育機関においての長文読解は
全文を読む必要は全くありません。

問題文から先に読ませて、
その後から答えを本文から探せればいい…
というスタンスです。

日本人学生がすっかり
長文読解コンプレックスに陥った一因です。

Uさんは留学を志されているということで、
その場の猫騙し的テクではなく
本物の読解力を身に着けていただきたいです。

さて、Uさんが将来

  • アイビーリーグ始め、世界的な名門大
  • その他大勢の地方州立大や中堅私立大

この2つのどちらを目指されるかで
完成させるべき長文読解の技術が異なってきますので、
一つずつ解説していきましょう。

まずは、地方州立大向けの長文読解です。

結論から言うと、このレベルでは
教科書だろうが論文だろうが
本当に全文読む必要は全くありません。

いかに量を読まないかの勝負です。

というのも、
例えば授業前の予習読解(プレリード)の場合は
授業内でスムーズに理解が進むように
基礎知識や背景を予め知っておくのが目的なので、
最初から全てを知っておく必要はありません。

「予習+授業+復習」を合わせて
トータルでの理解が完成するイメージです。

授業前に自分で教科書を全文読んで
流れを全て掴めてしまうような秀才は、
このレベルの大学に授業料を払ってはいけません。

時間とお金・労力のムダです。

そうではない普通の生徒は
授業に備えてベースを作っておくことが
プレリードにおける長文読解の目的ですので、

  • IntroducionとConclusionの段落
  • 本文の段落、最初と最後の文
  • 太字や赤字で強調された部分
  • (あれば)まとめ・Summary

読むのはこれらだけで大丈夫です。

概要を掴むにはこれで十分です。

むしろ、これら以外の文章は読んではいけません。

TOEICやTOEFLにも共通しますが、
一般人の読解スピードだと全文読んでいては
何日あっても足りないようになっています。

これは、論文を読む際にも共通します。

  • Introduction (Abstract)
  • Conclusion

絶対に外してはいけないポイントはこれだけです。

というのも、概要把握や
引用に適した文章を探したいのなら
これらの段落で十分間に合うように
論文は構成されています。

その様に構成されていない論文は駄文です。

実験・調査内容の詳細やケーススタディ等、
後の内容は必要なら読みます。

ただ、一つ注意してほしいことがあります。

読む文章の絶対量を減らす分、
実際に読む文章については
「サラ読み」ではなくキッチリ読む必要があります。

もう既に大分飛ばし読みですから、
飛ばさない分は真正面から読まねばなりません。

長文自体の読み方は後述します。

さて、名門大向けの長文読解です。

こちらの場合、全文読まねばなりません

世界的な名門大の役割は、
過去に蓄積された模範解答をもとに
明日の模範解答を創っていくような
エリート・エスタブリッシュメントの養成です。

つまり、
教科書レベルでつまづいている場合ではないのです。

ハーバード大学のとある教授が、
自らが教鞭を執る授業にて
生徒に向かってこう言い放ったそうです。

模範解答なんて聞いてくるヤツは、
ハーバードになんか来ないで
地方国立大にでも行ってろ

これがエリートです。

その為、名門大学においては
教科書の内容を予め完璧にマスターした上で、
授業内では教科書とは全く関係ない話をします。

模範解答など不要、ということではありません。

彼らにとっては、踏み越えるべき前提だというだけです。

さて、これら2つに共通するのは
読む文章量の違いこそあれど
「読む分はしっかり読む」ということです。

私がよく生徒に教えているのは、

長文が読めるようになりたければ、
長文が書けるようになれ」ということです。

現時点で長文読解が苦手なのに、
猪突猛進に長文と戯れようとしても
もっと苦手・嫌いになるだけです。

そこで、
なぜ長文は長文になってしまうのか
を一番効率的・効果的につかむには
自分が書く側に回ってしまうのが最適解なのです。

でも、長文が苦手なのに
それを自分の力で書くのはちとキツい。

そこで有効なのが、
優秀な教材や過去の名文から
長文を引っ張り出してきて、
その文章を真似てしまうことです。

「教材」の一例を挙げましょう。

  • Duo3.0
  • 新聞(紙・ネット問わず)
  • お気に入りの英文小説やエッセイ・歌の歌詞

このプロセスにおいては、
日本の伝統的な英語教育たる
文法からのアプローチが真価を見せます。

  • 分詞構文
  • 接続詞
  • 関係代名詞・関係副詞

これらの英文法は、いわば
「英文を長文にしてしまう元凶」なので、
そのメカニズムを文法的に解明できれば
書くことも読むことも出来るようになるわけです。

そして最終的に、これら
「長文メソッド」を自らのモノにできれば
もうUさんに恐れるものはありません。

 

回答、スミカ(Rick)

【追伸】
長文を読むのが好きな人はいません。
それならば、
「なぜこの長文を読む必要があるのか」という
目的・ゴールを最初に明確にしておくことです。

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