「大学受験と英会話の関係性」experienced。

ノンフィクション – experienced

高3の夏。

冬に大学受験を控える受験生に混じって、
受験がないどころか既に入学大学が確定している乙が
オレンジ色の単語帳とひたすら向かい合っていた。

それがかの『英単語3800』である。

今だから言える話ではあるが、
その空間を取り仕切る存在である甲が
週7・朝から晩まで自習スペースを開放してくれていた。

うだるようなセミの鳴き声の中、
快適にエアコントロールされた部屋と
一人一つの長机・そこそこ座りやすい椅子が提供されていた。

「休日出勤、なんて言葉を考えるのはやめた笑。」

甲は豪快に笑っていた。

甲は、本来メニューにない
「TOEFL対策コース」を
特別にオーダーメイドで教えてくれていた。

もちろんその生徒は乙ただ一人である。

「質問を聞いて、その後沈黙に向かって1分間話すって酷だよね」

「そもそも求められる英作文が学校の試験の100倍難しい」

学校英語にはないTOEFLの要素の数々に、
教わる乙ならず教える甲の方も
手探りで添削・相談しあいながらレッスンは進んだ。

もはやレッスンというよりはコンサルティングである。

「でもさ」

いつも通りの室内でも響く声で甲が問いかける。

「結局、初歩と基礎だよね、このテスト」

乙は静かにうなずいた。

語彙とか文法とか、英作文とか会話とか、
求められるもんは学校英語とまあ同じじゃん。

ただ、暗記してあとはちょっと出せればいい大学受験と
出すこと前提で身体に染み込ませないといけないTOEFLの違い

それは乙も痛いほど分かっていた。

TOEFLが難しいのはその場アウトプットの質と量である。

その場で出された問題に対し、
一定の質のアウトプットを一定量吐き出さなければアウトだ。

こんな未知の茨にどう挑むか。

甲と乙の答えは一つだった。

専門的なことは追々やるとして、
とりあえず初歩と基礎をウンザリするぐらい固めよう

その半年後、結果は吉と出る。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「大学受験と英会話の関係性。」

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