一読者である甲からこんな声が届いていた。
「じゃあ、あの記事の理屈で言えば
『聞き流すだけ!』みたいな学習方法でも
活路を見いだせるってことですか?」
「もちろん。
いくらお手軽さと著名人をフル活用・宣伝しても、
全く効果が出ないものは流石に淘汰されるからね」
甲も自分にあった最適な学習方法を
探しだすのに苦労している一人だった。
「じゃあ…例えばでいいんで、
その『聞き流す』の活用法を教えてくださいよ」
「用途にもよるんだけど、一つのやり方は
『流れてくる音声の文章が予め全て頭に入っている』という前提で
リスニングの特訓やシャドーイング教材としては使えるね」
「なるほど」
「うん。
確かSLA(第二言語習得研究)曰く
『文だと読めるけど音だと聴き取れない』という段階の人には
あの類の音声教材は効果的だと言われている」
「それはつまり…
まさに『聴き取る練習』ですよね」
「うん。
より厳密に言えば、
『一語一句既に知っている文章』を音で聞いてみることで
活字と音声のギャップを体感したり
どこが具体的に聴き取れていないか…という課題発見に使うものだね」
「ああいう教材も活かしようってことですね」
「そうだね。
流石に聴き流すだけで英語が話せるようになったら
全世界の学校教育から『外国語』は淘汰されているはずだからね笑」
念の為、これは悪口ではない。
「ふむふむ…あっ、乙さん、
一つ質問してもいいですか?」
「いいよ」
「英語を勉強してしばらくたつんですけど
語彙が全く覚えられないんですよね」
「学習タイミングとか睡眠の話は
確か前にしたから…純粋に学習方法の話かな」
「そうです」
学習方法よりも
ある意味睡眠の方が大切…というのはここでは余談。
「それも…用途によるんだよね。
甲さんは、どうして英語を学ばれているんだっけ」
「独り身で、英語でのビジネスのやり取りが
出来るようにしておくためです」
「なるほど。素晴らしいですね。
えっと…語彙は今はどうやって勉強してる?」
「今は…あの、
大学受験で有名なターゲットを使ってるんです」
「どんな方法で?」
英語教材は使い方が命である。
(一応、最初の方に
「使い方」的な文章を載せている教材がほとんどだが
それを読み飛ばして自己流でやっている学習者は想像以上に多い)
「あれです!赤シートで日本語と英語を覚えて…
英語→日本語、日本語→英語でパッと出てくるようにしています」
「おお、いいじゃん。
あとはそれを実際の会話に結びつければいい」
「なるほど」
「甲さんの場合は、
今そうやって学習が出来ているという事実を尊重して
『日本語で文章を置き換える→それを英語にする』
みたいなアプローチの方がいいかな」
「えっ、むしろそれ以外にもあるんですか?」
「ほら、むしろそっちの方が多いんだけど
『フレーズ丸暗記します』みたいな人の方が多いから。
でも甲さんは受験英語も経験されてるし、そっちの方が肌に合ってそうだね」
「ありがとうございます。参考になります」
「一つ付け足しておくと、
甲さんの場合やっちゃいけないのは
ノートにひたすら語彙を書き連ねるような学習法ね。
だって実際に発音できないと意味がないし、
正直会話においてスペルはさほど関係ないし。
まあ、甲さんはやってないとは思うけど」
ここで甲の顔が引きつるあたり、
乙はまだまだ人間性が足りていないようだ。
…筆者、スミカ(Rick)
【追伸】
「誰にでも絶対に効果的な学習方法」はこの世にない。
換言すれば、周りがなんと言おうと
あなたにとって効果的ならそれが正解。
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