私が講師として教えていて定期的にいたのが、
「オレは塾に行かされている」
「親が行けって言うから」
と言わんばかりの生徒である。
この生徒は意識を変えない限り100年経っても成績が伸びない。
「だって通わされているから」という最強の言い訳を手にしているからである。
たとえ英単語の勉強をサボっても、
文法で覚えるべきことを全く覚えなくても
宿題に全く手をつけなくても
「別に来たくて来ている訳じゃないし、嫌ならいつでも辞める」
という子は一番たちが悪かった。
(自分の成績はともかく、周りの子にも悪影響を与えるからだ)
もし体験授業でこういう兆候を見せてくる子がいたら、
入塾自体を丁重にお断りするようにしてきた。
これに比べれば、
「成績が伸びればゲームを買ってもらえるので塾に通って勉強します」
という子の方が100倍マシであり、また成績も実際に伸びた。
「テストの点数が取れると、好きなアイドルのコンサートに行ける」
「今度のテストで○点以上取ると、家族が焼肉に連れて行ってくれる」
「もし成績が良かったら親にソシャゲのガチャを引かせてもらえる」
以上は私が実際に会ってきた例だが、
大変に素直でよろしいと思う。
動機が不純であればあるほど粘り強いと言っても言い過ぎではなかった。
これはもう時効だから告白してもいいと思うが、
私が学生の頃には同級生の中に
「好きな子に毎週会いたいので同じ塾に通います」
「好きな子に褒められたいので毎日勉強します」
という文句なしの豪傑もいた。
ここで大切なことは動機の高尚さではない。
高尚であれば高尚であるに越したことはない…というのは建前だ。
「勉強は大事だよ」という綺麗事は子供には通用しない。
高尚な子供なんて一人もいない、
全く不純ではない子なんてゼロ、というのが実態だった。
(男に関しては全員「モテたい」「好きな子と関わりたい」が動機だと思って間違いない)
ここで大切なのは、
動機なんてどんなに不純でも汚れててもいいから
「何かしらの理由のもとに子供自ら勉強する」という事実なのだ。
その方が持続力があり、
また結果に対する執念(怨念?)が凄まじいものになるからだ。
勉強を続けること。
結果(点数)にこだわり、結果(点数)を取るための勉強に徹すること。
この2つは学業成就の本質といっても過言ではない。
だからこそ、親の立場からできることは
子供のこういった本音を洞察した上で塾に通いたくなるように仕向けることだ。
その為にも、子供とは普段からコミュニケーションをとっておいた上で
「これがあれば塾に行く」というツボを抑えておくことだ。
…筆者、透佳(スミカ)
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