一つ前の項目では
「個別指導に適応しやすい子・しにくい子」
という枠組みで個別指導と集団授業の違いを紹介したが、
個別指導と集団授業にはもう一つ大きな違いがある。
それがこの母性・父性である。
結論から言ってしまうと、
個別指導は母性が強い・母親寄りの講師が多い。
集団授業は父性が強い・父親寄りの講師が多い。
もう少し具体的に言うと、
「優しさ」を第一に求めるなら個別指導がいい。
「厳しさ」を第一に求めるなら集団授業がいい。
こういうことになる。
個別指導と集団授業では、在籍する講師の性格・タイプが違うからだ。
これは私が独断でそう言っているのではない。
講師として入社した時点の性格はともかくとして、
仕事をしていくと自然に母性・父性のどちらかに傾いていくような仕組みになっているのだ。
例えば、まずは個別指導で見てみよう。
個別指導の講師に求められることは、
なんと言っても「寄り添うこと」である。
その生徒の課題に寄り添って、一緒になって考える。
その生徒の日常に寄り添って、一緒になって考える。
その生徒の勉強に寄り添って、一緒になって考える。
良き理解者であることが先立つのが個別指導なのだ。
これは個別指導のニーズを考えれば当たり前だろう。
「ウチの子だけを見てほしい」と個別指導を選んでいるのに、
「こういう子が多いからこうですかね」という大雑把な分析は要らない。
あくまでも「この子はこうだから、こうですね」と
独立したケースとして捉えてあげることが大切だ。
寄り添って、同じ立場になって、同情して…
というのはどうしても感情面の割合が強くなる。
こうして、個別指導の講師は母性に傾いていくということだ。
これに対して、集団授業の講師は
多くなるとそれこそ50人〜100人というレベルの数の生徒を
同時並行で担当しなければいけないから、
一人一人に寄り添っている余裕などとてもではないがない。
そこで指導の際に何を根拠にするかと言えば、ロジック(論理)なのだ。
当たり前だが集団授業の方が生徒の絶対数は多い。
つまり、
「こういう生徒はこうだから、こう教えればいい」
「このレベルの子はこれが課題になることが多いから、こうすればいい」
という指導のパターン化・理論化ができるようになる。
(帰納・演繹という言葉が好きな人はそれでもいい)
こういった理論や経験値をもとに、
「あなたはこうだからこう」
「これはこうだからこう」
「この場合はこうすればいい」
と、感情抜き・理屈で指導する傾向が強くなる。
こうして、個別指導の講師は父性に傾いていくということだ。
気遣いとか忖度とかいいから
とにかく事実・真実をもとにした冷静沈着な指導を受けたい子は、
概して集団授業の方が向いている。
だが、正しいことを直球ストレートで言われた際に
「どうしてそんなこと言うんですか!」
とつい感情的になってしまうタイプに集団授業はキツい。
(どちらが良い、という問題ではなくひたすら相性の問題だ)
「頑張ったね」
「頑張っているね」
という温かい声掛けがほしい子は個別指導の方が向いている。
私自身のこれまでの経験を振り返ってみても、
「この先生は生徒に好かれるな」
という講師は個別指導塾の方が割合で言えば多かったし、
「この先生は生徒に嫌われそうだけど正しいことを言っているな」
という講師は集団授業塾の方が割合で言えば多かった。
以上を参考にして個別・集団どちらかを選ぶのも悪くない。
…筆者、透佳(スミカ)
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