結論から申し上げると、
現地に暮らす留学先に日本人が多ければ多いほど留学の難易度は下がる。
その代わり、その後の人生全てにおいて「この人はラクをしたな」と評価される。
同じ大学出身でも、
AOや推薦で入ったのと入学試験で正面から入ったのとでは本音での印象が違うのと同じだ。
同じ海外留学でも、
日本人に頼り切りなのと自ら開拓したのとでは本音での印象が違う。
少なくとも「一緒に働きたい」と思われるのは
群れていて依存性が高そうな前者ではなく孤独で自立心が高そうな後者だ。
もちろんこんな本音を表立って口にする人などいない。
実は現地に日本人が何百人いようが、日本人会がどれだけ一大組織だろうが
建前では「海外留学ですか!凄いですね」と言ってくれる。
ただし本音では必ず舐められる。
その場で発覚するならまだしも、
その場では黙っていて後から発覚しようものなら印象最悪だ。
「日本人が多いんだから現地での苦労も少なかったんでしょう」と思われる。
概してその通りだから仕方ない。
ここまで強調して言えば分かると思うが、
「日本人が多い」というのはメリットではなくデメリットなのだ。
先ほども少し話したが、
日本人がいるとあらゆる情報をショートカットして入手できてしまえるからだ。
「このクラスがいい」
「この専攻がいい」
「このスーパーがいい」
「このレストランがいい」
「このボランティアがいい」
全てがリスト化されて、日本人の間でリアルタイムで共有・推奨される。
やろうと思えば全て他人に選んでもらうことも可能なぐらいだ。
だが、海外留学の存在意義は
未知の場所において自分で調べて自分で生きていく力を養うことだ。
そうでなければ海外を出る意味がない。
いつでもどこでも日本人を頼りにできるというのは
それは日本にいるのと何も変わらないではないか。
自分の頭と体で調べて、自分で挑戦するからこそ意味があるのだ。
確かに「不安だから」と日本人が多い土地を探したがる気持ちは分かる。
かく言う私も最初はハワイを留学先として選んだぐらいだ。
だが、ハワイで数ヶ月〜半年も留学すれば嫌でも気付かされることがある。
「あれ?何か困ったら日本語でググれば絶対に解決するな」と。
現地での公的手続きから仕事探し・ボランティア先探し等々、
日本人の情報網・コミュニティが大きすぎて
もはや英語なんて必要ないぐらいのレベルになってしまっているのだ。
英語は「あれば便利」程度の存在になっているし、
ましてや自分で現地民から情報収集しようとは思わなくなる。
ハワイ留学をしたことがある人でこれを正面から否定できる人はいないだろう。
だがこれでは、日本国内のちょっと国際色豊かな街で暮らしているのと同じだ。
それよりも、日本人なんて全くいないような場所に留学して
自分の力で開拓していった方が留学は面白い。
少なくとも自立心・英語力・バイタリティはその方が格段に身に付く。
ついでに「日本人」どころか「アジア人」と呼ばれる経験をしながら、
海外から日本がどう見られているかという国際的視野をより深く養うのだ。
…筆者、透佳(スミカ)
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