最初に断っておくが、海外留学においてカルチャーショックは避けるべきものではない。
むしろどんどんカルチャーショックを受けるべきである。
それも全てが学びになるからだ。
「え!こんなものを食べるのか」
「え!こんな風に勉強するのか」
「え!こういう場合はこう言うのか」
等々、これら全ては実際に現地に暮らさなければ絶対に見つからない。
「カルチャーショック」とネットで検索してしまうと、
その情報はもう既に初見ではなくなるからその分ショックは減る。
だがカルチャーショックは初見だから面白いのだ。
初見だからこそ衝撃が大きくなって、一生忘れられない体験になる。
「こんな人も世の中にいるんだな」
と気付くのはもちろんのこと、
「自分って実はこういう考え方をするんだな」
と気付かせてもらえることもできる。
せっかく異国の地で異文化を学びに来ているのだから、大いにショックを受けよう。
ショックの受け方には一つコツがある。
それはショックを受ける瞬間は一人になるということだ。
ショックを受ける際に群がっていると、その分ショックが薄まる。
「でもそういうのもネットに載ってたよ」と言い出す人が登場する。
「昔アメリカに来た時もそうだったよ」と言い出す人が登場する。
「え?こんなの当たり前じゃないの」と言い出す人が登場する。
だがそれは、せっかく美味しいものを食べたのに
「いや、それ全然おいしくないよ」と余計なことを言われるようなものだ。
ショックは一人で受けて、一人で堪能するからこそ学びになるのだ。
例えば私の場合、テキサスのダラス空港に人生で初めて訪れた時にこんなことがあった。
どの空港でもそうだが、制限エリア内には自動販売機がある。
私はそこで初めて、支払い時にクレジットカードが通せる自販機を見かけた。
飲み物一本(といっても2.5ドルしたが)買うぐらいなのに
流石はカード大国のアメリカだ、と思ったものだ。
だが飲み物のボタンを押して手持ちのカードを通しても、
「ERROR」のようなメッセージが出てしまって中々買えない。
3回目でようやく買うことができた。
そして後から銀行口座を確認した私は思わず笑ってしまった。
コーラ一本しか買っていないのに、しっかり3回分の代金が差し引かれていたからだ。
これではコーラ一本7.5ドルとかいうハイパーインフレである。
いい加減すぎて笑ってしまった。
ついでに自販機に載っているカスタマーセンターの番号に電話しても
いつまでたっても全く繋がらないのにも笑いが止まらなかった。
いい加減とは聞いていたが本当なんだ、と改めて実感した。
これ以降私はアメリカの自販機で断じてカードを使わないようにしたのは言うまでもないが、
(大学にある自販機でも現地の学生はスパスパとカードを通していたが)
仕組みとしては感心したものだ。
もちろん事前にアメリカの自販機について綿密に調査していれば
私はこんなショックを受けることはなかったかもしれないし、
コーラ一口飲むのに何ドルも支払う必要はなかったのかもしれない。
だがこういうエラーも含めて、海外留学は面白いのだ。
もちろん危険な場所・危険な人は徹底的に避けるべきだが、
その上であえて異文化に転がされてみるのも留学の一興である。
…筆者、透佳(スミカ)
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