DeepL(ディープエル)翻訳という翻訳ソフトをご存知だろうか。
オンライン上の翻訳サービスといえば
例えばGoogle翻訳やエキサイト翻訳などが昔からよく使われてきた。
AIは正確さ・単語を一つ一つ正確に訳すことには元々長けている。
だがそれを、生身の人間と同じような
強調するところとそうでないところに分けた抑揚のある文章にするのは苦手だった。
一言一句全て訳そうとしてしまうのがこれまでの機械翻訳だったのだ。
だが、このDeepL翻訳が群を抜いているのはこの自然さなのだ。
左側(スマホなら上部)に日本語の文章を打ち込むと、
あたかも画面の向こう側で生身の翻訳者がパッと訳したような文章が表示される。
文法的にも間違いはほぼないから、あとは
「自分はこういう言い方の方が良いな」
という個人の好みを加えて微調整して終了である。
ここから何が言えるかというと、
以前は必ず人を介して解説・添削・補助してもらわなければならなかった
リーディング・ライティングが、自分一人の手でも十分行えるようになるのだ。
以前は「来週までに教科書50ページ読んできてね」
と言われたら絶望しながらヒイヒイ言って読んだり
英語の得意な人に泣きついて助けてもらったりしていたところを、
今ではDeepL翻訳を通してしまえば日本語でかなり高いレベルまで解釈することができる。
以前は「来週までに1,000wordsのエッセイ3枚書いてきてね」
と言われたら絶望しながらヒイヒイ言って書いたり
英語の得意な人に泣きついて助けてもらったりしていたところを、
今ではDeepL翻訳を通してしまえばあとは微調整するだけで立派な英文を仕上げることができる。
私が現役の留学生の頃に普及していたら…と思うばかりである。
もちろん、人の助けが完全に不要になるわけではない。
だが、テクノロジーの力をフルに活用することにより
借りる人の助けがより少なくて済み
より多く自分の裁量・自分の力で戦っていけるようになる。
これは素晴らしいことである。
こういう話をするとすぐに
「自分の力で正面から読んでこそ英語力がつくんだぞ!」
「自分の力で正面から書いてこそ英語力がつくんだぞ!」
と熱くシャウトする人が登場しそうだが、
そもそも海外留学の目的は英語力ではない。
あくまでも英語を通じて、日本では学べない何かを学ぶことである。
英語力はそのための手段であって、目的ではないのだ。
そしてこれは私の塾講師・チューター経験を振り返ってよく分かることなのだが
現時点で英語力がない人が自分の力で読んだり書いたりしようとするのは無駄である。
「とりあえず読めば・書けば英語力は上がる」というのは完全に嘘であり、
初歩・基礎がない人がどれだけウンウン唸っても意味がないのだ。
もちろん、自分自身の単語力・文法力を向上させることは大切だ。
その必要性が完全にゼロになることはないだろう。
だが、一つ間違いなく言えることとして
「これまでほど人に頼らなくても良くなった」
「これまでほど自分の英文を否定されなくなった」
という意味で、「孤独の留学」にとっては追い風である。
これを活かさない手はない。
自分自身の英語力を鍛えていくのと同時に、
こういった文明の利器は存分に活用するべきである。
…筆者、透佳(スミカ)
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