ここでいう偏差値50というのは、
学校の教科書に太字で大きく書かれているような初歩・基礎のことです。
英語で言えば、
「文章は主語+動詞で始める」
「数えられる名詞の複数形は動詞にsをつける」
「be動詞はam/is/areを使い分ける」
といったようなものです。
勉強において大切なことは、
この初期の段階で「どうして主語+動詞で文章が始まるの?」と考えないことです。
誤読してもらいたくないのでもう一度言いますが、
考えることではなく考えないことです。
ここで「英語の成り立ち」「歴史」「言語学」といったことを話し始めると何が起こるか。
「ウンチクにはやたら詳しいけど、肝心の点数はお粗末な子」が誕生します。
これは最悪です。
「あぁ、そういう子見たことあるな」と笑っている場合ではありません。
他ならぬあなたがそうならないことが大切なのです。
ですが私が知る限り、率直に申し上げて
勉強があまりできない子に限ってこういう「雑学」に熱中してしまいます。
「英語っていうのは世界に広まった言語だからシンプルさが大切で…」
「英語っていうのは名詞の数を気にする文化があって…」
「元々be動詞に限らず、全ての動詞は不規則変化していて…」
確かにこういった教科書の端に「コラム」として載っているような話も大切です。
英語を「教養」として考えるなら、こういう話もできた方がいいです。
ですが、現時点で中々努力が報われない子にとって
まず集中するべきなのは「ここを覚えれば点数が上がる」というポイントです。
「テストには出ないけど人生において役立つ雑学」ではありません。
この順番を絶対に間違えてはいけません。
ルールブックの端っこに載っているような細かいルールはよく知っているけど
肝心の野球がイマイチなプロ野球選手がいたら、お話になりません。
それと同じです。
細かいルールは後から覚えればいいのです。
まずは基礎練習・うまくなるための練習が先です。
なぜ私がここまで強調しているかと言えば、
「勉強のポイント」と「雑学」の両方に集中するのは不可能だからです。
少なく見積もって、90%以上の生徒には無理です。
よりストレートに申し上げると、現段階で5段階中5以外の生徒には無理です。
キャパを超えます。
「でも教える側の先生はそういう雑学をよく話すじゃないですか!」
という声が聞こえてきそうです。
教える側の人間が雑学にも集中できるのは、科目を絞っているからです。
英語なら英語だけ、数学なら数学だけを教えるのが仕事です。
1教科に絞れば、その1教科に全てのエネルギーを注ぐことができます。
雑学が増えていくのは自然なことであり、
その科目への愛も手伝ってつい生徒に披露してしまうのです。
それに対して、生徒は一度に複数の科目を勉強する必要があります。
今日の中学校は主要5科目(国数英理社)・実技4科目(技家美音体)で計9科目です。
9科目それぞれに「覚えるべきこと」があるのに、
その上ウンチクにまで手を出していたら覚え切れなくなります。
ウンチクは確かに人生を豊かにしてくれますが、直接成績アップには貢献してくれません。
であれば思い切って一旦捨ててしまうことです。
まずは覚えるべきことを覚えて、勉強ができるようになりましょう。
その上で、気分転換としてちょっと雑学の話をすればいいのです。
…筆者、透佳(スミカ)
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