「二重人格」experienced。

ノンフィクション – experienced

一般的に二重人格というと
表の人格とそれに隠された裏の人格…というイメージだろう。

だが乙にとっての二重人格はそうではない。

より恐ろしい存在である。

裏が一切ないのが一番怖い。

甲はまさにそんな人だった。

甲が陰口を言っているところを
乙は見たことも聞いたこともない。

それもそのはずだ。

およそ「陰口」と思われるものは全部、
本人に向かって面と言ってしまうからだ。

半数、否9割以上からはこれでドン引きを食らう。

おかげさまで甲にはほとんど友達がいなかった。

「あんなズケズケと物を言うなんてありえない」と、
特に女性陣からは総バッシングだった。

そんな甲に乙は静かに惹かれていた。

本音を言うのは、陰口の1億倍勇気を求められる
ことを乙はよく知っていたからだ。

そんな甲に直接尋ねる機会があった。

「どうして、そんなにズケズケものを言えるの?」

甲の答えは
当時の乙には断じてない世界だった。

「下手に好かれたら困るから」

甲は本物のカリスマだった。

「好かれたら…って、嫌われるとか考えないの?」

恐縮顔の乙に対して、
またしても甲は本音ストレートだった。

そのくらいで嫌ってくるやつには
さっさと嫌ってくれた方が時短になるからありがたい

現代において
こんな思考が出来る人間が
目の前にいることに乙は痺れた。

乙の心の師匠は、甲だった。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「二重人格。」

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