例えば家庭から塾へ年4回、電話をかけたとする。
電話は1回あたり10分としよう。
10分が4回だから、年間40分間である。
年間たった40分間電話をかけるだけでサービスが向上する
となれば、電話をかけない手はないだろう。
これがなんと本当の話なのだ。
塾によっては授業報告書の「保護者記入欄」があるからそれでもいい。
親御さんの方から塾に定期的に連絡をすると、塾の対応が良くなるのだ。
この理由はあなたが塾講師の立場になってみれば分かる。
テストや塾側主催の面談の予定もない、
年度末でもないような至って普通の日に
「もしもし、そちらでお世話になっている〇〇の母ですけれども…」
と電話がかかってきたとする。
「何かあったな」と悟るのが塾講師である。
これはあらゆる業種・業界でそうだが、
「おいしかったです」「良かったです」と顧客が会社を電話にかけることはほぼない。
「不味かったです」「悪かったです」と電話をかけることならいくらでもある。
つまり、電話が来たというその時点で
「あれ、何か悪いことやったかな…」
と塾講師は考えてしまうものなのだ。
毎週親御さんと直接会っているわけではない以上、
急に来られると尚更である。
電話をかける理由の方は正直何でも構わない。
「初めての大きなテストで、子供が不安そうで…」
「宿題が難しいと言っていて、親としては見守ればいいのか…」
「ここの部分が分からないって言ってたんですけど…」
こういったどこの家庭でもありそうな会話で大丈夫だ。
受話器の向こう側では、塾講師が心臓をバクバクさせながら脳内の記憶をたどっている。
「テスト前のフォローが少し足らなかったかな…」
「宿題、少し難しすぎるのを出してしまったかな…」
「ここの部分の説明、ちょっと足りなかったかな…」
これに対して、塾講師は必死にこう答えてくれるだろう。
「テスト対策は万全ですのでご安心ください」
「次回の授業、〇〇君の宿題の様子をよく見てみますね」
「次回来塾された際に少し補習の時間を設けるのはいかがでしょうか」
これが狙いなのだ。
こうやって「少し」意識づけさせてあげるだけでいい。
これだけでそれ以降の授業が少しづつ改善されるからだ。
しかもきっちり言質まで取れるというオマケ付きだ。
業界歴が長くてかつ人を呼ぶ魅力がない「補欠の先輩」講師になると
受話器を置いて開口一番
「こんなことで電話をかけてくるんじゃねえ!」
と吐き捨てられる恐れもあるが、
それはどの業界でも同じことだし
そういう事が発覚したらさっさと転塾すればいい。
まともな塾であれば、
「親御さんが塾での様子を気にかけている」という事実が分かった時点で
何か不備があった・改善するところがあると感じるし実際に改善する。
こういう訳で、この「たまにこちらから電話作戦」は効果抜群なのだ。
繰り返すが、テスト直前や年度末など
塾と家庭が直接話す面談が元々予定されている時期にかけてもあまり意味がない。
あくまでも「普通の日」に、不意打ちとしてかけると効果があるのだ。
…筆者、透佳(スミカ)
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