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【OneListenOneSoul#2】スポーツの「プロアマの境界線」を考える―Shuichi Satoさん【前編】

カレッジスポーツ

 

どうも、スミカ(Rick)です。
テスト週間も終わり、気がつけば4月も半ば。
こんな感じであっという間にタームは過ぎる…

 

えー、今回の記事は
筆者スミカ(Rick)個人としては
どうせ第1回で爆死して終わる
勝手に想像していた「アノ」企画。

 

OneListenOneSoul」です。
ありがたい事に需要はあった模様で、
まさか
第2回インタビューです。
ようやく…これで終わるんやな…

⇒OneListenOneSoulに関してはコチラ⇐

今回のゲストは、
お隣ルイジアナ州のラファイエットに位置する
University of Louisiana Lafayette
(ルイジアナ大学ラファイエット校)にて
運動生理学・助教授」として勤められている
(Assistant Professor / Exercise Science)
Shuichi Satoさんです。

日本での社会人生活から
ここまでに至るまでのストーリーや
留学生へのアドバイスを
さっくりと…と思ったら
日本スポーツのアレやコレまで
幅広く掘り下げてくださいました。
今回は記事を複数に分けているので
前回よりは読みやすいとは思います。

それでは、どうぞ。

 

 

「なんでここでこんなコトをしているんだろう」

――では、今日はよろしくお願いします。
まずは日本で勤務されていた時代から、
渡米を決意した理由とは。

  その前に、僕は高校・大学といわゆる体育会系の人間だったんで、まったく勉強をしてこなかった笑。でも就職の時(バブル経済の崩壊直後)にはOBが「体育会就職」という形で持ってきてくれていた。だから企業の名前すらもよく分からずに、「まあ、これは大企業だな」「給料が良いな」「有名だろうな」という感じで、OBが勝手に仕事を持ってきてくれる時代だった。授業もほとんど出ないし、僕は理系だったけど行ったのは実験くらいで成績もギリギリ。そんな感じで会社に入って、ふっと「なんでここに居るんだろう」「なんでこの仕事に就いたか分からない」って思ったんだよね。それが(日本から離れる)最初のキッカケかな。

  後、当時の僕の会社は外資系で、4年間の勤務で会社の名前が3回も変わりました笑。だから最初は300人くらいだったのが、気付いたら日本で8千人規模の会社になっていた。それで合併した3つの会社がカリフォルニア・テキサス・ボストン文化が全くバラバラこんな人たちが一緒に仕事が出来るわけがない、と。確かに最初の300人の頃は楽しかったけど、合併してからはやる事も理想もバラバラだし。それで「なんでこんな事をやっているんだろう」って思って、そこで改めて自分の意志で勉強をしたくなったのがもう一つのキッカケだね。

  それで過去を振り返っていた時に、学生の頃からずっとやってきたアメフト…、ひいては「スポーツ」という学問に興味がその時湧いてきた。そしてスポーツでビジネスが大きい・職がある…といったら、やっぱりアメリカだと思ったのが(日本を発つ)動機だったね。

 

――その時は、既に目標はピンポイントだった。

  既に「アスレティックトレーナー」と決めてたね。それで当時、アメリカでトレーナーの勉強が出来る大学がまだ20くらいしかなかったので、「卒業して資格さえ取れれば一緒だな」とそれら全ての大学をリストアップしてみた。そして費用とか(僕がやっていたスポーツの)フットボールの強さとかを調べて、日本で出席したセミナーでの紹介も含めて、南ミシシッピ大学という選択肢が出てきた。費用も安くて、応募の時に一番最初に連絡をくれたから、そこで決まりと。

 

――ATの資格を取って、
その後目指していたものは。

  仕事だね。アメフトにも興味はあったけど、何よりもこれで食べていけるかどうかが大切だった。なんせ、(アスレティックトレーナーは)ケガ人が出れば仕事があるけど、無いときはスポーツをすぐそばで見ていられる。そんな風に「楽しみながら仕事が出来ればいい」という考えが浮かんだ。大学にまた入って次の仕事を探すにあたって、小さいころからずっと慣れ親しんできたスポーツ関連がやりたいと。その関係のビジネスやマーケティング戦略が強いのはアメリカだから、ヨーロッパと違って「外国人でも入り込めるチャンスがある」と思って、アメリカを選んだ。

 

――USMに来た後初めて、
アメリカに関して気付いたこと。

  初めての長期滞在で英語も下手だし、18年前のことだったのだけど。(USMは)今と変わらず当時もスポーツが栄えていたし、設備が日本の大学のどこよりも充実していた。色々とシステムも整っていたからね。

 

――日本のスポーツは「弱い」のか。

  弱いというか、「お金が回ってない」。昔からの日本の伝統としてスポーツは「教育の一環」であって、お金をかけてやるものじゃない…というボランティアの精神が強いから、根本的に文化が違う。だから単純に比較するのも酷だけど、「プロとアマは一線を引くべきだ」という考えがまだ根強く残っている。アメリカだと例えば中学や高校の試合でもお金をとったりして、周辺も含めて「地域に貢献・還元」という形でやるんだけど、日本だと「基本はボランティア」。それに国土が狭いから自前のグランドが中々確保できない。そういう歴史もあるから変えるのは大変だけど、今は少しずつ努力はしているみたいだね。

 

 

アメリカと日本スポーツの「プロアマ」を考える。

――アメリカでの「プロアマ関係」とは。

  こっちだと部活のOBなどを通じての交流・引き抜きは割とよくある事。どちらは良いとは言えないけど、日本では昔からの歴史が長く残っている。特に日本だと一つの要因としてオリンピックがあって、「お金を稼ぐだけプロ」と「国を背負えるアマチュア」で(昔から未だに)保守的にハッキリと分けられてきている…そんな歴史があるんだよね。

 

――「トップクラス』のプロアスリートは、
お金を稼ぐプロトップの実力だが
『国の(オリンピック)代表』にはなれていない。
なぜこのような
「プロとオリンピックの壁」は未だ健在なのか。

  プロは(あくまでも)お金を稼ぐのを仕事としている。先日のWBCでもあったけど、日本での「出ないことを非難する」というのは個人的にはおかしいと思う。あくまでもプロはお金を稼いでナンボだし、仮に怪我をして補償が何もないのは(WBCに)出づらい・出るべきでない理由になってきてしまう。

 

――「愛国心」と「ビジネス」は別か。

  だって、補償なかったら出る必要無いでしょ(キッパリ)。WBCだと「愛国心の結果、ケガしました」、これが例えば戦争だと「名誉(愛国心)の結果、亡くなりました」になる。こういう事になったときに家族の人たちは「誇りに思います」とか言うだろうけど、(本当は)100%そうかな。自分の大切な人がケガしたり亡くなったときに、気持ちばかりのお見舞いとお悔やみとかをもらっても、「誇り(Pride)で全てを片づけられるのか」とは思う。その辺に関しては、僕はどちらかと言うと現実主義かな。

  だからプロは自分らの為に「体力の限界・ピーク」の中でお金を稼がないといけない。その中でのWBCは補償(金銭)が少なすぎる。もちろん出てきている(アメリカの)メジャーリーガーも居るけど、彼らレベルのオールスターなんかいくらでも作れるからね。なのでもし僕がプロだったら、(WBCには)出ません。野球でお金を稼ぐのが仕事だし、それで生活が成り立つわけだし。

 

――どうしても「その二つ」は分離してしまう。

  プロはそれが仕事だからね。

 

――オリンピックは「名誉職」になってしまうのか。

  様々な文化・歴史の中で、その「報い(=名誉)」が大事かどうかは個人個人が決める事なのであって、そこを他人が非難するべきじゃないと思う。出たければ出ればいいし、出たくなければ出なければいい。それに対して周りが感情的に言うのは違う。例えば先日の大谷(北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手のこと。今年3月、大会直前にWBC出場辞退したことに関して日本では様々な論点を含む賛否両論が巻き起こった)に関して周りが色々言ってるけど、あれは彼が判断したことなのであって、それに対してとやかく言う文句を言う筋合いはないよね。

  球団からビジネス的に考えたら、無理にさせるよりは絶対に休ませるでしょ。球団からしたらそのお金(大谷の移籍金)で次世代のチームを作っていかなきゃいけないし、そういうビジネス視点で考えた時でどんなに非難されようとも、彼ら(大谷と日本ハム)は感情で動くべきではないよね。日本は「情け」だ、とか言ってマスコミとかもよく非難するけど、それはプロフェッショナルじゃないよね。

(少しスミカ(Rick)の個人の意見になりますが、先日の大谷選手のWBC辞退が問題になっているのは「辞退することそれ自体が問題ではない」ということを覚えておいてください)

 

――その点において、日本とアメリカは未だ違う。

  もちろん互いの文化にも良いところはあるし、決してそれを非難するわけじゃないけど、それ(『名誉』と『お金』はどちらが上か)は(最後は)個人での選択になるよね。それが良いか悪いかは将来分かる事だし、それは自分で決めるべきコトだから。

 

――この様な『ビジネス』的観点から言うと、
逆にオリンピックの『意味』とは。

  価値観は変わってきてるけど、「(明確に)黒字化しよう・商業化しよう」としたのは1984年のロザンゼルス・オリンピックが最初だよね。あのあたりから広告宣伝とかスポンサーの本格導入が始まった。昔からの考え方である「赤字化しても国民が喜んだ」じゃなくて、半ば町おこしのような感じで経済の活性化・インフラ整備・そして地域への還元をする。そのためには、「赤字にできない」と。そのような考え方が導入されてから、オリンピックの価値そのものが変わってきているんじゃないか。その時からオリンピックにプロも参入し始めて、「本当のトップでメダルを争おう」としたのもあの時期。その時をキッカケに、今ではオリンピック自体が微妙な立ち位置に居るよね。

  競技にもよるけど、プロアマは混ざってきている。でも悲しいかな、お金がないと人間モチベーションを保てないから笑。「アマチュアスポーツ」って言うけど、仮に金メダルを取った後に国で家をあげたり年金を支給したり…それでも「アマチュア」ですか、という考え方もあるからね。本当の「アマチュア」だったらそういうのは本来であれば全部辞退しないとおかしいんだろうけど、そこに確かに「代価」として提供しているわけだからね。ロシアとか中国とかでもそうだけど、政府として・国として「金メダルをとったら色々とあげますよ」とか…いわば(こういう意味では)「プロもアマチュア、アマチュアもプロ」だよね。

 

――「100%ピュアなアマチュア」
という存在はない。

  だって、彼らも生活懸けてるんだもん笑。犠牲にしているものも多いんだから。本当のプロには及ばないとは言え、個人的にはその位しても・あげてもいいと思う。議論を元に戻すと、そもそも「『プロ』と『アマ』ってなんですか」って話になる。国のため・名誉がお金に換えられないのは(理想論として)分かるんだけど、じゃあビジネスで見ると「誇りだけで生活できますか」、という現実的考え方になる。じゃあそこでアメリカと日本の違いを考えると、やっぱりアメリカの人の方が個人単位・家族単位で「食べていきたい」と考える人が多いんじゃないか。

  だからWBCにしても、アメリカの人たちは日本ほど批判的になるわけじゃないし、MLBのファンとして「ケガしたらどうするんだ」と思っている人が多い。ヤンキースの田中やレンジャースのダルビッシュもそうだけど、「MLBで勝って球団・地域にもたらせられる金額」と「WBCで得られる名誉」を天秤にかけた時に、常日頃MLBにお金をかけたり応援したりしているファンとして「行かないで」「やらないで」が普通じゃないかな。

 

――両方が理想、だが。

  もちろん、そうなんだけどね。明確な答え・結果が無い状態なのに、例えば日本だと「大御所」とかが…。まあこっちでも(そういう方々が)居るんだけども、「喝!」とか言われても本当は困っちゃうよね笑。こっち(アメリカ)でもやっぱり「名物」で居るもんだよ、そういう好き勝手言う方々は。世界中どこにでも、USMにだっているくらい。当時はフットボールの合宿後に必ず来る名物のじいちゃんが居てね笑。

  気合入れた話をするんだけど、選手とかは「このジジイまた変な気合入れに来やがった」とか知ってるんだよね。普段のミーティングだと4年生とか主将が真ん中なのに、その時だけコーチ含めて皆に「Shu、前行け!前行け!」とか言われてそのじいちゃんの真ん前まで行かされて笑。そして「気合いだ!」とか言ってつまらない説教を聞かされてるのを、4年生が後ろでクスクス笑ってて「うわ、ハメられた~!」、とか思って。そういう人はどこに行っても、いつの時も絶対に居るの。「気合いだ!」とか「ガッツだ!」とか経験を話すんだけど、誰も全く聞いてないんだよね笑。

 

 

今回は、とりあえずここまでです。

実は、ここまででまだ
全インタビューの半分到達してないくらい、
今回は充実の第2回となっています。
なので、今回は見やすさや編集の関係上
3部構成でお送りします。
今日から3日連続配信を目指します

 

次回:インタビュー中編
日本スポーツ業界の
不思議な矛盾からグレーゾーンまで!
ここがヘンだよ日本スポーツ」を斬る!
To Be Continued…

↓↓続きの中編、アップしました。↓↓
【OneListenOneSoul#2】ココがヘンだよ日本スポーツ—Shuichi Satoさん【中編】

 

スミカ(Rick)
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