ブログ拝見しました。
特に私の印象に残ったのが、
「エッセイの『○○文字以上』は撤廃するべき」
という記事でした。
努力を評価するのはよろしくない、という内容でしたが
学生とは本来そのようなものではないでしょうか。
なぜスミカさんがこう思われたか、
より詳しい解説をいただければと思います。(東京都・学生・Kさん・女性・20歳)
日本の大学についてはよく分かりませんが、
アメリカの大学に存在するシステムの内
私が今すぐ全撤廃するべきだと思っているのが
この「○○文字以上」です。
「最低○ページ以上書いてくださいね」というアレです。
反対の理由はいくつかありますが、
ここではその内2つを取り上げます。
まず一つは、
「文字数が目的になってしまっていること」です。
ここではエッセイ=学術論文としますが、
本来の書く目的は調査内容や学術的分析・提案を
読む人に分かりやすく伝えてかつ納得してもらうことで
次のアクションをとってもらうことです。
「この運動は人間の身体に健康上良い!」
という論文なら皆にその運動をしてほしいですし、
「水素水は実は身体にすごく良い!」
という論文なら皆に水素水を飲んでほしい訳です。
その是非は別としても、
学術論文の世界はトライ&エラーの繰り返しですから
何が正解で何が不正解だなんてコロコロ変わります。
だからこそ、毎日考えて仮説や調査を発信し続け
それを皆で考えさせる・検証させることで
人類をより良い方向に導くのが論文の使命です。
ですが、これが文字数を目的にするとどうなるか。
「○○文字以上だから、この論文は正しい!」
「○ページに満たないから、これを読む価値はない!」
実際にどう思っているかは別にして、
文字数ルールを無くさない限り
現在のアメリカの大学は
真面目にこれを生徒に課しています。
どれだけ優れた内容であろうと、
ページ数が足りなければ評価が下がります。
どれだけ残念な内容であろうと、
ページ数を満たしていれば一定の評価がもらえます。
ページ数・文字数とは努力です。
つまり数それ自体を評価するということは、
「よく頑張ったね。エライね」を
大学という教育機関でやっているということです。
これを社会人になってから
同じようにやってしまっている
身体だけは大きいお子さんが急増中です。
給料を
「何時間働いたか」や「何日働いたか」
という努力で決めようとしています。
奴隷の発想です。
「頑張ったね、はなまる」
「もう少し頑張らなきゃダメだよ」
こんなのは
日本の学童保育だけで十分です。
大切なのは中身であり、
どれだけ人類の発展に寄与出来るかです。
確かに努力は大切ですが、
努力それ自体を評価する・されるようになったら
人間はおしまいです。
次に二つ目です。
この世で一番読者が読みづらい文章は、
「文字数稼ぎの為に無理やり足された文章」です。
全く同じ内容を伝えるのなら、
一万文字で書かれるよりも
百文字に凝縮して書かれていたほうが
読者は助かるのは当たり前です。
読者に読んでもらう・行動してもらうために
わざわざエッセイを書いているのに、
文字数の為に文章を足すということは
読者のためではなく、書き手のために文章を書いている
ということになります。
ここに議論の余地はありません。
相手のために文章を書くのがプロであり、
自分のために文章を書くのはアマです。
本来、アマの文章は
人に読ませる資格はありません。
読む人のことを一切考えていないからです。
実際どう思っているかは別にして、
文字数とは書き手の一方的自己都合ですから
読者にはそのように伝わります。
どう伝えたか・伝えたかったかではなく、
どう実際に伝わったかが全てです。
これまで
「より短い文章量でより多くの情報を伝える技術」
に優れた学生に何人か出会ってきました。
彼らは書き手としてはプロなのです。
なのに、
「せっかく圧縮したのに、
圧縮したから文字数が足りない!」と
アマの思想(文字数)を強要されるところを
私は留学生活で何度も見てきました。
かくいう私自身もその一人です。
確かに長文を書ける・扱えることは大切ですが、
それに固執して読者を置き去りにしてしまっては
どうしようもありません。
面白い文章を書いた結果、
どう削っても長くなってしまうのは
仕方ないでしょう。
ですが、
長い文章を読むのが好きな人はいません。
面白い文章が読みたいのです。
長文を読む為に生まれてきたのではなく、
名文を読む為に生まれてきたのです。
という訳で私は
「○○文字以上」に反対するとともに、
「○○文字以内」を代わりに適用するべきだと考えています。
この狙いが一瞬で分かった人は私と友達です笑。
回答、スミカ(Rick)
【追伸】
「1ページ以内」のエッセイを書くと、
無駄な文章が一切書けなくなるので
一文一文の質が格段に向上するとともに、
努力という言葉に逃げられなくなります。
Kさんも一回やってみればすぐに分かります。
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