英語学習教材で一番大変なのは単語帳(熟語帳)の作成だと思う。
文法書や参考書であれば一回しっかりしたものを作れば5年10年はもつが、単語・熟語はトレンドや移り変わり・新制度・新単語・出題者の抵抗諸々あって下手したら2年持たない。
奥付を見れば分かるが、誰でも知ってるような単語帳・熟語帳というのは何度も改訂を重ねていることが多い。
【追伸】
前提の考え方として、この世のあらゆるテスト・試験は差をつけるために存在する。
しっかり勉強してきた人をしっかり通して、
しっかり勉強してこなかった人をしっかり落とすのが重要な役割だ。
「あなたは○点ですね」
「あなたは偏差値○○ですね」
「あなたは○級合格ですね」
というのを区別・仕分けるためにテストや試験はある。
この視点で考えると、出題する問題というのは
「頑張れば」解ける問題にしておく必要がある。
逆に言えば、
- 正解率100%の問題(=頑張らなくても誰でも正解)
- 正解率0%の問題(=頑張っても誰でも不正解)
これら2つは差がつかないから出題する意味がない。
その問題においては、皆が同じ点数になってしまうからだ。
さて前置きが長くなってしまったが、ここからは出題者の気持ちになって考えてみよう。
「誰でも絶対に外せないTOEIC単語帳超ベストセラー」があったとする。
TOEIC受験者にとってこれがなければお話にならない、
もはや義務教育というレベルで全員買って全員勉強している単語帳があるとしよう。
出題者の気持ちとしてどうしても、
この単語帳から単語を沢山出すのは控えようという気持ちが生じる。
その単語を出題しても全員正解してしまって、差がつかないからだ。
そこで業界ナンバーワンではないような単語帳や
マイナーな単語帳だけに載っている単語を出題しようと試みる。
(流石にどの単語帳にも載っていない単語を出しても全員不正解だから無意味)
例えばTOEICなんかは年に10回開催されているから、
単語の傾向・流行は1年もあればガラッと変えることができる。
こうなると困るのはその「ベストセラー」の編集部である。
「おたくの単語帳を使っても実際のテストに出てこない」
というのはその単語帳の信用問題に関わる。
単語帳なんて世の中に無数にあるから、一瞬で浮気される。
だからこそ、それを防ぐために単語帳の編集部は
テスト(例えばTOEIC)を毎回自分で受けるのは当然として、
「最近はこういう単語が増えてきたぞ」
「こういう単語、めっきり出てこなくなったな」
というのを絶えず情報更新していかなければならない。
そしてそれを「改訂版」として単語帳に落としこんでいく。
「改訂版」が出たらまた皆それらの単語を勉強し始めるため、
その単語では差がつかなくなってしまう。
そして出題者はその単語を避けて別の単語を出すようになる。
そう、永遠に終わらないのだ。
言い方は悪いが、出題者と単語帳編集部のイタチごっこなのである。
それでいて、単語帳なんて一冊1,000円かそこらである。
単語帳を出すような会社は全てマゾだと思うし(失礼!)、
ましてや個人(著者が「〜編集部」ではなく個人の名前)で出している人は
筋金入りの真正のマゾなのだろうと思う(失礼!)。
…筆者、透佳(スミカ)
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