甲の指導方針は徹底している。
「ないものは出せません。
なので、まずは完璧に出せるように仕込みましょう。
それがスピーキングです」
それを聞いた乙は、
自分がパクったのではないかという程に
見覚えがありかつ本質をついている
この理論に改めて惚れ惚れとしていた。
それは乙自身の留学経験からいってもそうだった。
その場でパッと答えられる力は確かに理想だが、
それよりもより根幹かつ大切なのは
決められたことを確実にアウトプット出来る力である。
「英会話」とは一言にいうが、
ネイティブの言うことをその場で聴き取って
ポンポンとキャッチボールしていくなんてことは
そう簡単に出来るようになることではない。
乙もこの「やり取り」は相当苦戦した。
プレゼンで一番難しいのはプレゼンそのものではない。
その後の質疑応答である。
第二言語の場合、
そこで予期せぬ質問が来た瞬間にアウトである。
そうならないためにも、
乙はかつて質疑応答までも
半ば出来レース状態になるように徹底的に仕込んだ。
聞き取りも同じことであり、
自分が知らない言葉は聞き取れないし分からない。
つまり、
コミュニケーションとは事前の仕込みに全てがかかっている
というのが乙の留学経験からの教訓である。
…筆者、スミカ(Rick)
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