Culture:孤独になると、「日本代表」になれる。

孤独の留学

私はせっかく留学するなら日本人が少ない場所に限ると思っている。

これまで多くメリットを話してきた孤独の状態になりやすいという点もある。

その上でもう一つメリットを追加したい。

それは「日本代表」になれるということだ。

日本人が少ない、ないしほとんどいない場所に留学すると

周り全員が日本人ではない中で一人ポツンと日本人がいるから

単なる一学生ではなく、日本人の一人として見られるようになる。

「日本ではどうなの?」

「日本では何が流行っているの?」

「日本ではアメリカの歴史をどう習っているの?」

等々、まるで自分が日本人代表・日本大使館代表にでもなったかのように扱われるのだ。

当たり前だが現地の学生からすると日本人は少数派であり、

授業の議論では少数派の意見こそ傾聴されるから尚更だ。

そしてこういう質問を定期的に受けるようになると気付かされることがある。

それは自分が日本についてあまりにも知らなさすぎることだ。

「日本ではどう」といっても、

最近日本のニュースや社会情勢をロクにチェックしていなかった。

「日本では何が流行っている」といっても、

日本の流行やトレンドをロクにチェックしていなかった。

「アメリカの歴史はどう」といっても、

自分が日本で学生として勉強していた頃はそんなことは全く意識していなかった。

だがこれは言い方を変えれば、

留学という機会によって日本を鑑みる機会を強制的に与えられるということだ。

これを活かさない手はない。

例えば私はアメリカで初めて茶道を始めたという話は先ほどした。

日本にいた時は茶道なんて何とも思っていなかったのに(失礼!)、

ひとたび海外に出てみると

「代表的な日本の文化」ということで途端に恋しくなるし

同時に海外にいるからこそ習いたく・勉強したくなるものだ。

また、私は卒業論文のテーマが英語学習だった。

英語を第一言語としない国々の学校英語教育を調べるのだが、

ここでも他の国と比較することで

「日本は世界的にはどういう国なのか」が改めてよく分かったものだ。

日本の場合は歴史的に一部の人しか英語なんて話す必要がなかったということと

教える側の技量の問題で必然的に文法・読解重視になったが、

これがお国柄英会話が必須な国になるとガラッと変わるものだ。

(私が知っている例だとパナマは英語を扱えないと就職できないから熱があった)

こういう分析は日本で群れて騒いでいては絶対にできるようにならない。

単身海外に出て、

「あなたはどうなの」ではなく

「日本はどうなの」と大きな単位を背負うことによって分析力が磨かれるのだ。

留学先に日本人が複数いると、このスリルが味わえない。

あなたが分からなくても、その中の一人が日本文化に詳しければ話は成立するからだ。

だが一人だと、一切の逃げ場がない。

「日本人なのに日本に疎い」

という事実が一発で明るみに出る。

そうならないために頭と体にドッと汗をかく。

「どうにかして答えよう」と頭をフル回転させる。

この体験があなたの日本人としての国際感覚を養うのだ。

 

…筆者、透佳(スミカ)

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