有名な話ですが、うつ病の人に向かって「頑張って」と声をかけてはいけません。
頑張ろうと思っても頑張れないからうつ病なのです。
言っている本人は励ましのつもりでも、言われた側には大きなストレスになります。
そういった言葉が勉強における親子関係・講師と生徒の関係にもあります。
それは「結果を出せ」です。
「テストで○○点以上」「偏差値○○以上」「内申点○○以上」…
本質的には言っていることは全て同じです。
あなたが仕事で上司に
「ぐだぐた言わずに結果を出せ」と言われたら、一番イラッとするでしょう。
人間は弱いので、自分がやられて一番イラッとすることを人に対してやってしまうのです。
それも悪気なく。
それがこの「結果を出せ」という言葉です。
なぜ言ってはいけないのかといえば、結果は保証・担保できないからです。
この世に「絶対勝つ」と宣言してかつ100%勝てる人間はいません。
「ヒットを打ちます!」と言って絶対に打てるなら、こんなにラクなことはありません。
どんなにやるべきことをやっても、結果は分からないのです。
目の前のことはコントロールできても、その結果まではコントロールできないのです。
「100回英単語を書いて」と言われたら自分の力でどうにかできますが、
「100点をとって」と言われても自分の力だけではどうにもなりません。
自分がコントロールできないことに対して、
「そこを何とかしろ」と言われたらどう思うでしょうか。
ムッとする人もいます。
悲しくなる人もいます。
無力感に襲われる人もいます。
何もいいことがないのです。
何もいいことがないのに、放っておくと他人に対してすぐ「結果を出せ」と言ってしまうのが人間です。
これは私も塾講師として一番気を付けています。
もちろん仕事である以上、欲しいのも、求められるのも、結果です。
自分が指導する生徒には一点でも高い得点、0.1ポイントでも高い偏差値、
そして最終的には理想の合格を勝ち取ってもらいたいです。
塾もビジネスである以上、合格実績があまりに奮わないと潰れます。
一番欲しいのは結果です。
ですが、それをそのまま口にして「○点以上な!」と言った瞬間アウトです。
コントロールできないからです。
「頑張りはするけど、○点以上だなんてやってみないと分からないよ」という話です。
こうして生徒からの信頼を失っていくのです。
そして、塾講師の中には「結果を出せ」と口には出さずとも
「結果を出せ」と顔に書いてあるような状態で生徒に向かって指導する人もいます。
これは極めて危険な兆候です。
絶対に保証できないことを要求して、それが達成されなかったらキレるのです。
こんな人を相手にする生徒はたまったものではありません。
言葉にするにしろしないにしろ、こういった結果を強要する人間とは関わらないことです。
百害あって一利なしです。
それよりも、
「今までこれだけ頑張ってきたのだから、いつも通りいってらっしゃい」
「これまでやってきた通りのことを、やってきた通りにやりましょう」
とそっと背中を押されて後は後ろから温かく見守ってもらう方が、子は安心します。
もう精一杯頑張っているのだから、余計な言葉は必要ないのです。
…筆者、透佳(スミカ)
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