春休みは春期講習、夏は夏期講習、冬は冬期講習、受験期は直前講習…
学習塾には数多くの「講習」が存在する。
表メニューとしては、学校が休みなどでまとまった時間がある時に
授業の先回り・復習や弱点補強・入試対策など
特にエネルギーが必要なものに取り組むというものだ。
そして裏メニューとして、塾側からすると講習は稼ぎ時である。
まとまった時期にまとまった売上がドカン!と入る。
塾講師に支払うボーナスもここから賄う場合が多い。
塾としてはまさに書き入れ時なのだ。
そこで塾は、
「休みの期間に勉強をサボったら置いていかれますよ」
「この時期が遅れを取り返すラストチャンスですよ」
「今のうちから学校の先回りをして、新学期に備えましょう」
等々、あらゆる理由をつけて講習の受講を勧める。
だが、子供を塾に通わせた経験がある方なら必ずしもこう思ったことはあるだろう。
「え!?講習のお金ってこんなにするの…」
私も生徒として塾に通ったことがあるから、この気持ちはよく分かる。
講習の費用がかさむ理由は究極、一つしかない。
授業が増えるからだ。
細かいところは塾によりけりだが、
- 普段取っている科目の1週間あたりの回数を増やす
- 普段は取っていない科目を受講する
- 普段以上のペースで授業を受ける(週1回→週3回など)
これら3つが授業が増える要因である。
そして授業が増えるということは、当然そこにつく講師の人件費がかかる。
「授業は増えますが講師はつきません」というわけにはいかない。
という訳で、講習は普段より授業が増えるから費用が高い…という
ここまでは小学生でも分かるような話だろう。
つまり、講習費用を抑えるためには手段は一つしかない。
取る授業の回数を減らすことだ。
シンプルだが、これだけの話なのである。
だが、塾側としてみれば講習は稼ぎ時だ。
年末年始の福袋を禁じられた百貨店や
行楽シーズンをコロナ禍で潰してしまった旅行業界のように、
講習を封じられてしまうと塾側は大きな痛手となる。
それだけに、
「塾の売上と目の前の生徒、本音ではどちらを優先するか」
ということが嫌というほど分かるのが講習である。
口ではいくら嘘をつけても、行動では嘘をつけない。
例えば、
「確かに夏休みの間も勉強したいけど、苦手科目だけでいいな…」
という生徒がいたとしよう。
ここで本当に生徒第一の塾であれば、
「もちろんどうぞ」と授業の数を減らしたプランを提案してくれる。
それに対して、本音では経営第一の塾は
「回数はもう決まっているものでして…」とプランの変更を頑なに拒否する。
「そんな塾あるの?」とあなたは思われるかもしれないが、
「授業の回数を減らす」と一声発した瞬間に
その塾の教室長が全力で説得しにかかる塾は少なくない。
彼らからすればそうしないと売上が立たないから血眼になるわけだが、
それはつまり
お客様の都合より、自分たちの都合を優先したということだ。
ここに議論の余地はない。
よってそういう塾は見限ることができる。
そんな塾にこれからも在籍していては、
今後何かあった時に明らかに塾側の過失なのに
「ですがこれはお子様の方にも…」
と平気で言われる可能性が高い。
また、もう一つの例として
「講習だけは、ちょっと別の塾で受けてみたいな…」
という生徒がいたとしよう。
ここで本当に生徒第一の塾であれば、
「いってらっしゃい」と生徒のためを思って送り出すことができる。
「それも生徒の経験」だと心の底から思っているし、
「でも最後はウチに戻ってくる」とサービスに絶対の自信があるからだ。
これに対して、本音では経営第一の塾は
「それはできません」「困ります」と全力で説得にかかる。
講習の売上が立たない上に、
もし浮気してそのまま帰ってこなかったら通常の売上も失うからだ。
このように、
講習というものを通じて塾が本当に生徒第一で動いているかどうかがよく分かる。
生徒を大事にするということは
生徒を生簀の魚のように囲い込むということではなく、
「生徒が育つ」ということを第一に提案できるということだ。
もしあなたが講習に子供を通わせることを検討しているならお伝えしたいのは、
「講習は全ての授業をみっちり出てもらいます」という塾側の言葉は
半分以上は塾側の都合であるということだ。
減らしてもいいし、なんなら受けなくてもどうってことない。
例えばその期間だけ映像授業のサービスに切り替えたっていいのだ。
思考停止で塾側の言いなりになるのは、もう今年でやめよう。
…筆者、透佳(スミカ)
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