さて、このチャプターでは冒頭のプロローグで触れた
「塾の使い倒し方」についてより詳しく触れていく。
そのためにまずポイントになるのが、保護者面談だ。
あなたもよくご存知かもしれないが、
塾はテストや模試の後・長期講習の前後・年度末など
目に見える成績が出る時期に
塾に通う生徒の親御さんとの面談を設定する。
生徒の塾での様子の現状報告はもちろんのこと
学習相談や進路相談、
裏メニューとして退会の事前阻止・満足度アップがある。
主に個別指導塾など、所属人数が比較的少ない塾は
全員の親御さんと直接面談できるのだが、
これが集団授業の塾になると事情が変わってくる。
多いところはそれこそ100人単位で生徒が在籍しているから、
同じ時期に全員と直接面談するのは物理的にかなり厳しい。
そこでそれぞれの親御さんに、
塾に来て直接面談するか
「感染対策のため」というていのいい理由で
リモート・電話面談で済ませるかを選ばせる。
だがここで「塾を使い倒す」という目的を果たすなら、絶対に直接面談を選ぶべきだ。
もちろんこのご時世、「密室で対面はちょっと…」というのも分かるが
それでも対面を選んでおいた方が良い理由がある。
対面の方が塾側の対応が丁寧なのだ。
率直に申し上げると、
対面の面談は電話面談と比べて「当たり」の講師やスタッフが担当する確率が高い。
これは学習塾のみならずあらゆるサービス業でそうだろうが、
電話のお客様対応より直接のお客様対応の方が概して難易度は高い。
電話は受話器から聞こえてくる声にだけ集中していればそれで良いが、
対面となると服装・振る舞いなども含めて総合的な対応が求められる。
お客様が目の前にいるのにカンペを見るわけにもいかない。
入社一週目の新人に電話応対させる会社はあるかもしれないが、
入社一週目の新人に来客対応までさせる会社はそうそうないだろう。
(もしあれば塾並みかそれ以上の人手不足である)
結果として、対面と電話の2つを比べたときに
対面の方が対応するスタッフ(講師)のレベルが上がるのだ。
スタッフのレベルが高い(相対的にマシ)から、
面談でぞんざいな扱いを受ける確率が下がる。
そしてもう一つ、対面を選ぶべき理由がある。
全員参加のもののみならず
出席自由のものや電話面談も選べるものまで毎回直接顔を見せるようにすると、
塾としても
「〇〇君の親御さんは毎回ちゃんと来てくれるな」
「教育熱心な方だな」
という印象を抱く。
一方、塾には一定の割合で
「面談の類には絶対に出ない」
「お任せします」
という親御さんも存在するわけだ。
もしあなたが塾講師だったら、
どちらのお子さんをより「強く」意識するだろうか。
「皆平等に扱う」というのはあくまでも建前であり、
塾講師も人間である。
毎回律儀に面談に来てくれるような、
塾としての活動に協力的な親御さんの生徒をどうしても贔屓してしまうのだ。
これは私自身も経験があるからよく分かる。
面と向かって真剣な表情で
「ウチの〇〇、ちゃんと宿題やってるか毎回見てくれると嬉しいです」
と頼まれようものなら無視するわけにはいかない。
もちろん何もない生徒を軽く扱うわけではないが、
その子をこれまで以上に強く意識してしまう。
それが人情である。
以上2つの点から、塾の面談は
自由参加・電話面談可のものも含めて
なるべく全て「対面」で出ておいた方がおトクな点が多い。
「対面も可」「生徒第一」と日頃謳っているクセに
蓋を開けてみると「なるべく電話で」「見送りで」と迫ってくる塾もあるが、
そんなことで塾に仕事をサボらせてはいけない。
その為に毎月こちらは授業料を払っているのだから。
…筆者、透佳(スミカ)
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