ここでは
「宿題は答えを写すんじゃなくて、ちゃんと自分の手でやらないよダメだよ!」
といかにも大人が言いそうな道徳論を論じるつもりはない。
ここではより事実を元にして、
「宿題の答えを写すと、その子に一体何が起こるのか」をお伝えしたい。
結論から言ってしまうと、
現時点で出来の良い子は宿題一つ答えを写そうがどうってことはないが
現時点で出来の悪い子が宿題の答えを写すと沈没していくのだ。
「ここが下限」ということはなく、底なし沼で成績が悪くなっていく。
これは学習塾で生徒たちの様子を見てきても全く同じであり、
現時点で勉強ができないヤツに限って答えを写してどんどん成績が落ちていったものだ。
なぜ答えを写すと成績が落ちるのか。
出来の悪い子が宿題を終わらせて、その上また何かを自主的に勉強するということはない。
宿題が終われば、残りの時間は全て動物のように遊んでしまう。
つまり、彼らにとっては
「宿題を解く」という時間が学習定着のラストチャンスなのだ。
この段階でチンプンカンプンだった問題が、
本番のテストになると急に解けるようになることは断じてない。
宿題が解けたからといってテストが100%解けることは保証できないが、
宿題をまともにやらないとテストができないことだけは間違いない。
(こういう話をするとすぐに
「宿題をやらなくても本番で頑張るんで」
のようなことを口にするヤツが登場するが、
こういうヤツに限ってテスト直前になると
「〇〇が分かりません」「覚えていません」と泣きついてくるものなのである)
そして、「宿題を写す」という行為は
このラストチャンスをぶち壊しにするということだ。
どうせ宿題が終わったらそれ以上鉛筆なんて持たないんだから、
宿題で定着しなければもう一生定着しない。
それなのに、答えをただ書き写して手の筋トレをしているだけでは
肝心の解き方・考え方なんてものは絶対に覚えられない。
断片的な情報として頭に刷り込まれる可能性はゼロではないが、
「じゃあ自分一人の力で解いてみて」
と問題を差し出されるともうしどろもどろになる。
こうしてテストで悲惨な点を取り、成績も下降していくのだ。
- 宿題をまともに解かないから内容が定着しない
- 定着しないから問題が自力で解けない
- 自力で解けないからテストが解けない
- テストが解けないから成績が落ちる
なんのことはない、これだけの話である。
私が見てきた限りでは、
出来のすごく良い子と出来のすごく悪い子は
特に学校の宿題を面倒くさがることが多かった。
出来のすごく良い子が宿題を嫌がるのは、
「もうこんな初歩的な内容分かっているよ」
「これをやる時間を他教科の勉強にまわしたい」
というのが主な理由だった。
(とはいえぐちぐち言いながらもちゃんとやるのだが)
これに対して、出来の悪い子が宿題を嫌がるのは
つまらない勉強より楽しいゲームをしたりマンガを読んだりしたいからである。
(そして本当にサボってやらなかったりする)
これを親御さんとの面談で言うと顰蹙を買うから
面と向かっては言えずオブラートに包んできたのだが、
そんなんだから勉強ができないし、勉強ができないということは当然つまらないのだ。
つまらないからサボるし、サボるから勉強がいつまでもできるようにならない。
こうやって完全に負のスパイラルに入っていた。
このスパイラルから抜け出すためにはどうすればいいか。
これまで述べてきたありのままの現実を受け入れた上で、
今目の前の宿題から取り組んでいくしか方法はない。
…筆者、透佳(スミカ)
コメント