元々オーダーメイドという言葉はテーラー(服の仕立て屋)から来たものであり、「パターンオーダー」「イージーオーダー」「フルオーダー」の3種類に分類される。
学習塾が「オーダーメイドカリキュラム」と謳う内のほとんどは、「既に存在する教材やカリキュラムの中からその人にベストなものを選び抜く・その人用にある程度調整する」というものだ。
これは即ちパターンオーダーそのもの、つまりは最も簡易なものである。
【追伸】
「完全オーダーメイドカリキュラム」
「フルオーダーメイドカリキュラム」
「生徒一人一人にきめ細かい指導」
と謳っているところも含めて、99%がイージーオーダーである。
これは少し考えてみれば絶対に分かる。
念のため、スーツや革靴などにおける「フルオーダー」とは
- その人の身体のサイズを全て正確に採寸、型紙を作る
- それを元に、完全オリジナル・宇宙で一つだけの製品を作る
- それを販売、何かあればアフターサービス等対応する
こういうことだろう。
これを学習塾に置き換えると、
- その生徒の長所・短所・課題を客観的に・正確に全て洗い出す
- それを元に、完全オリジナル・宇宙で一つだけの教材やカリキュラムを作る
- その教材・カリキュラムで授業を進め、何かあればすぐ修正・改善する
こういうことになる。
塾講師としてこれだけは断言してもいいが、
こんなことができる学習塾はこの世に存在しない。
それは学習塾ではなく「専属家庭教師」である。
本当にその生徒のことだけに専門特化できる専属家庭教師ならともかく、
学習塾は「一人だけのことを考えればよい」ということは絶対にない。
同時期に複数の生徒を同時に担当しなければならないのが普通だ。
そんな中一人一人に「フルオーダー」なんてしていたら1日100時間あっても足りない。
そんな学習塾ができることといえば、
- 一人一人の課題を「ある程度」捉える・分析する
- それを元に、既存カリキュラム・既存教材の中から最適なものを選ぶ
- 実際に授業を進め、添削や質問等に答える
せいぜいこの程度の「パターンオーダー」ぐらいである。
これが「嫌だ」という人はもう家庭教師を雇うしかない。
そういう生徒のために家庭教師が存在しているのだ。
「お金はそんなに払えないけど、フルオーダーがいいです!」
と本音では思う気持ちは分からないでもない。
だが、それは残念ながら
「1万円しか払えないけど、ビスポークで靴を作りたいです!」
と言っているのと同じだ。
集団塾・個別指導塾・家庭教師すべてにおいて言えることだが、
払ったお金と「自分のためにかけてもらえる手間・時間」は比例する。
これを知った上で塾を使うのと知らないのとでは雲泥の差だ。
【追伸の追伸】
その上で書くけど、
実際やっていることはイージーオーダーなのに
「弊塾は一人一人に合わせた完全オリジナル・オーダーメイドカリキュラムです!」
とか訴求する塾もどうかと思うよ。
それは缶ジュースのオレンジジュースを
「100%フレッシュジュースです」
といってお客様に出しているのと何も変わらない。
こういう人はオーダーメイドという言葉は
パターンオーダーのことだと思っているから悪気はないんだけど、
その「悪気はない」というのがこれまた最悪だ。
…筆者、透佳(スミカ)
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