これは留学生側・採用側双方に共通する誤解なのですが、
「留学生は英会話ができるから、ビジネスの場でも英語が扱える」と考えている節があります。
これが大きな誤解なのです。
海外留学をしても、ビジネス英会話の力は身につきません。
通常でも面接の場、最悪の場合は採用後にこの事実に双方が気付きます。
それは留学生側の責任でも、それを知らなかった採用側の責任でもありません。
あえて言えば、どっちもどっちです。
「留学生はビジネス英語ができる」という前提がおかしいのです。
ビジネス英会話で大切なのは、「英会話」の部分ではありません。
「ビジネス」の部分が極めて大切なのです。
それは、言語によって変わることのない「ビジネス上のやり取り」のことです。
電話の取り次ぎから始まり、メールやお問い合わせ等々のお客様対応、直接お客様と話す場があればその会話やサービスの提供…
「ビジネス英会話」とは、これら全てを英語で行うことです。
つまり、「ビジネス」ができないのに「英会話」もなにもないのです。
これが、声を大にして伝えたい事実です。
通常、海外留学で「ビジネス」の部分を学ぶことはありません。
経営学で学ぶのは、そういった庶務というよりは経営戦略・経営のケーススタディです。
取ろうと思えば「ビジネスライティング」のクラスを取ってビジネス文書の書き方を習えますが、ほぼそれくらいです。
そこで学べることは、あくまでも「教科書上・理論上ビジネスはこうなっている」という知識でしかありません。
インターンもあくまでもインターンであって、「本当の社会人」ではありません。
実際の「ビジネス」経験が身につくのは、実際に社会人になってからになるのが当たり前です。
つまり、入社前の時点で「ビジネス英会話」ができる留学生など存在しないのです。
それに加えて、今の若い世代は電話を取らない・取れない世代です。
若い世代にとって電話というものは、仲が良い人と「じゃあ今から電話しよっか」とお互いの同意の上で始めるものです。
全く知らない人の電話を、しかもいきなりかかってきた状態では全く対応できないのが普通です。
苦手というよりは、そういった経験がゼロなのです。
正直に告白しますが、私もその一人です。
知らない人からの着信で受話器を抵抗なく取れるようになるまで、一年以上かかりました。
若い世代の親御さん以上の世代(≒会社の上司)は、この話の意味が理解できません。
「鳴ってるなら取れよ」と言うことしかできません。
そういう世代に向かって、「英語で電話対応しろ」というのはただのいじめです。
繰り返しますが、「留学生はビジネス英会話ができない」ことが普通であり、またその事実をお互いが理解することが就活を気持ちよく・スムーズに進めるコツです。
…筆者、透佳(スミカ)
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