「リスニング学習の三大前提」experienced。

ノンフィクション – experienced

で、結局
リスニングってどうやって勉強するのがいいんですか?

乙が私塾を持っていた時代、
その一生徒であった甲はこう尋ねてきた。

「とにかくTEDとか洋楽とか
毎日聞くようにしているんですけど、全くなんです」

甲は頭を抱えていた。

「あのさ、前ライティング教えたときに
『ないものはない』『ないものは出せない』って教えたじゃん」

「はい」

隣同士に座った乙が力強く見つめる。

「これの意味、覚えてる?」

「はい…ええと、
自分が知らないことを書くことは絶対にできないから
ライティングを成長させたければ
徹底的に仕込んでおくしかない…ですよね」

甲は顔の前に手をやりながら思い出そうとする。

「そう、その『知らないことはできない』っていうのは
リスニングにおいても全く同じなの」

「ほう」

「じゃあ…こんな例えをしようか。
甲さ、『だいだんえん』って知ってる?日本語。」

乙が突然国語の問題を始めたことに対して
甲は若干混乱気味のようだった。

「だいだんえん…分からないです」

「まあいいや、ちなみにこの言葉(大団円)は
『ハッピーエンド』って意味なんだけど」

「ほお」

「今、甲は『だいだんえん』という文字は一発で聴き取れた。
でも、それを『大団円』という情報にすることはできなかった。
つまり、純粋に事前のインプット・知識が足らないの」

乙のストレート節は今日も健在だった。

「英語も同じ。
例えば『require』って単語があったとして」

「あ!それは『求める』ですね!」

甲は乙の単語テストで日頃からしごかれていた。

「そ、分かるでしょ。それがリスニングなの」

「つまり、語彙がまだまだ足りていないってことですか」

「そうだね。私も全然足りてない。
『暗記してる』レベルの語彙じゃなくて、
こうやって『聞いてその場で分かる』レベルになると
その数はさらに下がる」

「じゃあ」

甲の方から本題に戻してくれた。

「リスニングを鍛えるためには、
まず語彙力を鍛えよう!っていうことになるんですね」

「そうだね。
それも『見て分かる』とか『調べれば』というのはナシね。
『一回聞いて』『その場で』分かるのがリスニングだから」

「確かに、リスニングってお手つきないですもんね」

メモをとる甲を乙は見守る。

「まあ、ある程度のレベルになれば
例えば音声連結のルールがどうとか
『戻り読み』しないだとか色々あるんだけど」

乙は甲を今一度じっと見つめた。

言葉を知らないから。
知らない言葉を聴き取れるわけはないから、
まずは『知っている』語彙を増やせばいい。
リスニングの半分はこれで解決する

早速、新しい視点と動機から
手元の単語帳とメモを開き始めた甲だった。

 

…筆者、スミカ(Rick)

「リスニング学習の三大前提。」

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