団体やクラブに属している人はついそのことを誇張してふんぞり返りたくなるということは先ほど述べた。
それとも関連するが、群れることにはもう一つ大きな問題点がある。
自分を過大評価してしまうことだ。
団体やクラブに属していると、自分ができないことでも周りが助けてくれる。
英会話にしても、その団体やクラブの中にとびっきり優秀な人がいれば
その人に丸投げしてその人経由で伝えてもらうことができる。
ボランティアやインターンにしても、
参加者の中に会話が得意で積極的な人がいれば
その人に先導してもらって残りの人も動くことができる。
別にこれ自体は悪い話ではない。
では何が問題になるかといえば、
団体やクラブの力をあたかも自分個人の力であるかのように勘違いしてしまうことである。
属しているグループが有能だと
特に何事の問題もなく毎日が進んでしまうから、
そこにいる自分もとてつもなく有能なのではないかと錯覚する。
こうして人は自分を過大評価するのだ。
だが、学生生活は全てにおいて団体行動できるわけではない。
卒業論文や卒業制作は当然生徒ごとにバラバラだし、
それ以前に日頃の授業のペーパー(論文)やプレゼンも一人。
卒業後のキャリア・就職活動も当然個人の戦いだ。
「みんなで一緒に仲良く」ができなくなるタイミングが必ず来る。
そのタイミングで初めて「私って一人じゃ何もできないんだな」と後悔してももう遅い。
会話力も、問題解決能力も、行動力も、プレゼン力も全て、
何もしなくても明日になったら突然身につくものでは断じてないからだ。
自分の身で痛い思いをして、自分自身の力で対処するという体験を通して
初めて身につくのがこれらの力である。
だが、何かしらのグループに属している限り
人は絶対に他者への依存心が生じ、成長の機会を失ってしまう。
だったら最初から一人行動を基本にするに限る。
私は留学生活の後半は意識して、絶対に群れないようにしてきた。
なぜなら群れてしまうとラクができてしまうからだ。
会話なんて一言二言だけ最低限話せればあとは他の人が頑張ってくれるし、
手続きや登録といった事務作業も隣の人の真似をしていれば終わってしまう。
だが私はそれでは意味がないと思ったのだ。
せっかく自己投資として何年・何百万円も投資しているのに、
学んだことが「周りにいかに頼るか」というのはなんとも情けない話ではなかろうか。
私が言っているのはそういうことである。
よく留学生を採用する会社が留学生に求める素養に「行動力」がある。
これは自分で動いて、自分で対処しようとする力に他ならない。
自分が動いているフリをして実際は全て他人に動いてもらった上に
あたかもそれを自分の手柄であるかのように振る舞うのは、
加齢臭漂うおっさんサラリーマンだけで十分である。
…筆者、透佳(スミカ)
コメント