あなたはなぜ宿題というものがあるのか考えたことがありますか。
「その方が教師が偉そうにできるからだ!」
といった話は一旦抜きで考えてみましょう。
単純に、この世の生徒の99%にとってそれが最適な学習方法だからです。
99%の生徒は、単に授業を受けるだけではその内容は定着せず
今度はその内容を自分で実際に使ってみる必要があります。
実際に使ってみて
「あぁ、こういうところで間違えたからこう覚えよう」
「ここがポイントなんだな」
「授業で言っていたのはこういうことだったのか」
と授業の内容をより深く吸収・納得して覚えることができます。
逆に言えば、99%の生徒は宿題までしっかりやらないと忘れます。
「宿題なんてやりたくない!」
「宿題なんてなければいい」
のような言動をする生徒は仕事柄これまで数え切れないほどみてきましたが、
宿題なんてやらなくても大丈夫なのはほんのひと握りの天才だけです。
例えば、東大にトップに入ってトップで出るような人は
「1回見ればすぐに覚えられてしかも一生忘れない」
「教科書に完璧な答えが書いてあるのに、なぜ皆これを理解できないのかが理解できない」
という考え方なので、こちらからの宿題は一切不要です。
そんなものがなくても覚えられるからです。
現に、各都道府県トップクラスの進学校は宿題が全くない場合があります。
宿題なんて全くなくても覚える子は覚えるし、
必要なら各自勝手に問題集なりを買って自分でやればいい、という考え方です。
これを普通の学校で真似すると大変なことが起こります。
授業中でさえ人の話をまともに聞いていない上に宿題までナシにしたら、
本当にボーっとしているだけで学生生活が終わってしまいます。
定着しているからこそ宿題ナシでも大丈夫なのであって、
定着してもいないのに宿題ナシにしてもそのまま落第するだけです。
学習塾にも宿題というものがあります。
私が知る限り、塾内のトップオブトップとドベは概して宿題を嫌います。
トップオブトップが宿題を嫌うのは、
もう内容なんて完璧に理解しているのにいちいち追加で作業時間を取られるのが面倒だからです。
これに対して、ドベが宿題を嫌うのは
そんなことよりゲームをしたりYouTubeを見たりしたいからです。
もちろん、授業の内容はまだ一切頭に入っていません。
こう考えると、宿題というのはできない子・苦手な子を救うための仕組みです。
「何をどう勉強すればいいか全く分からない」という子に対して、
「この問題をこれだけやれば定着できますよ」と完璧に与えてあげているのが宿題です。
何も考えず、ただ言われた通りにそれをこなすだけで
勉強ができるようになるように宿題は作られています。
やる意味は大いにあるのですが、やらない意味がないのです。
現時点で定着していない子にとって、宿題をやらないというのは
「こうすれば誰でもヒットが打てるようになりますよ」
とわざわざ丁寧に教えてくれているのに、それに対して
「嫌だ!僕はバットなんて握らずにホームランが打てるようになりたい」
と言っているようなものです。
ただのわがままです。
ここまで言えば宿題の大切さは分かっていただけるでしょう。
「これをこれだけやれば大丈夫」と先生がせっかく保証してくれているのが宿題です。
つまりこれが最速・最短であり、これをこなさないのはどう考えても遠回りなのです。
…筆者、透佳(スミカ)
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