仕事柄、「学校の定期テストで点が取れないから取れるようになりたい」
といって来る生徒をこれまで数え切れない程直接指導してきました。
こういった生徒の特徴を一つに絞れと言われたら、私はこう答えます。
学校から配布される問題集がロクにできないクセに、他の教材に手を出したがることです。
学校から配布される問題集は、教科書レベルの初歩・基礎の繰り返しです。
間違えて発展レベルの問題なんか出したら、カンニングの嵐になります。
大半の子にとって後ろの答えを見て、それを書き写すだけの作業になります。
学校の先生も流石にそのくらいは分かっていますから、
日頃の学校の授業で取り扱わなかった問題は絶対に課題として課しません。
自分が教えてきたことと同じ問題・その類題だけを課題として出します。
そうしないと「授業でやっていないことが宿題になっているぞ!」とクレームが来てしまいます。
それは塾に通っていない子を差別することになるので大問題になります。
そうならないためにも、学校配布問題集は初歩・基礎レベルを死守しているのです。
つまりそれが解けないということは、その初歩・基礎すらまるで分かっていないということです。
塾の教材は、学校配布問題集よりも簡単で分かりやすくてしかも内容が深いなんてことはありません。
もしそうだったら、それこそ学校なんて行く必要がなくなってしまいます。
学校の授業・学校の教科書レベルは最低限頭に入っているという前提で、
それを実戦レベル・テストが点が取れるレベルまで引き上げるためにあるのが塾教材です。
塾教材は魔法でもなんでもないのです。
そんな魔法があったら、とっくに日本中で大ベストセラーになっています。
ここを履き違えて、
「学校の勉強はまるでできないんですけど、塾の教材ならどうにかなりますよね?」
と鬼気迫る勢いで塾に迫って来る親子は毎年います。
もしその子が入塾したとして、まずやることは学校配布問題集の解説です。
少なくともそれが完璧に仕上がるまで、他の教材には絶対に手を出させません。
浮気したくなる気持ちは分かります。
「学校の勉強が合わないだけで、塾にいけばできるようになる」
と思いたくなる気持ちも痛いほど分かります。
私自身も学生としてかつてそうっだたからです。
ですが、塾に教えられることは結局は学校で教えていることの反復・焼き直しです。
学習指導要領からは何があっても逃げられないのです。
これが現実です。
(そもそも著名な塾教材は学習指導要領、つまり学校の教科書準拠で作られています)
ここから目を背けて、教材ソムリエになろうとしてはいけません。
「学校も塾もダメだ」となって、
親が近所の書店で「問題集」を買ってきて子供にやらせるのは典型的な最悪のパターンです。
子供はやればやるほど分からなくなるばかりか、ますます勉強が嫌いになります。
勉強はひたすら量をこなせばどんな子でも必ず伸びるというものではありません。
まずは教科書レベルの初歩や基礎を頭で理解することが先です。
そこから逃げて、手を沢山動かして汗をかくことでごまかそうとしてはいけません。
…筆者、透佳(スミカ)
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