受験勉強における目標といえば、なんといっても志望校合格でしょう。
この志望校の決め方ですが、
「自分はなんとしてでもこの学校に行きたい理由がある」
という確固たる理由がある場合は迷う必要はありません。
ぜひその志望校に向けて、日々の勉強を頑張ってもらいたいです。
ですが、このように
「もう自分はここに行くので」
と最初から決まっている人は全体から見れば極少数であり、
大半の人にとっては多くの選択肢の中から
「どれにしようかな」
と考えて選んでいくのが志望校です。
これは知り合いの学習塾教室長に聞いたことであり、私自身の経験とも一致するのですが
コロナ禍以降、明らかに「偏差値だけ」で学校を選ぶ人の割合が高まりました。
「自分の今の偏差値に見合った学校を選ぼう」
「自分の実力から見れば、このくらいはチャレンジしておきたい」
「滑り止めとして、このくらいの偏差値の学校を確保したい」
と、偏差値が一要因ならともかく
偏差値が決め手となって志望校を選ぶ生徒や親御さんが明らかに増えました。
なぜ増えたかといえば、コロナ禍で各校の学校説明会が潰れたからです。
(2022年現在は少しずつ再開されていますが、当初は本当にゼロになった時期もありました)
学校説明会が潰れると、親子が学校選択において収集できる情報の質と量が大きく下がります。
学校説明会で話される内容は、ネットで大っぴらに公開できないことも多いです。
仕事柄学校説明会に行くことが多いですが、
「お、この学校はこんなことまで教えてくれるのか」
というのが現地に足を運ぶと続々と出てきます。
それだけどの学校も生徒募集に必死なのです。
そういった情報が遮断されると、HPやその他口コミサイトに載っているような情報で判断することになります。
そうなるとどうしても偏差値という情報の割合が(相対的に)高くなってしまうのです。
塾側としては、少しでも高い偏差値の学校に合格してもらって
「合格実績」にドカンと掲載したいというのももちろん本音です。
そういう塾も多数あります。
ですが、こういう本音を文にする塾業界関係者は私ぐらいでしょうが
「トップの学校に向いていない生徒」というのは確実にいます。
自分の学力に見合ってない学校に入ってしまうと、後が悲惨です。
トップ校入学後に成績を維持する・学内偏差値50をキープするというのは大変な努力が必要です。
大学受験なら入試で燃え尽きてもいいかもしれませんが、
高校受験の場合は僅か3年後に次の入試がありますからそこで燃え尽きたらアウトです。
入った後が勝負なのです。
入った後が勝負なのに、無理して背伸びすると留年します。
受験業界ではこれを「沈没」と呼びます。
自分の実力より明らかに上の学校に入ってしまって、入学後に落ちぶれる現象のことです。
1回落ちぶれると、もうほぼ復活できません。
例外中の例外として復活できた人が「武勇伝」として有名になるだけなのであり、
全体として見ればそのまま力尽きてしまった生徒の方が大半なのです。
ここから言えることとして、偏差値は高ければ良いというものではありません。
自分にあった・適したレベルの偏差値の学校を志すことです。
偏差値を上げる努力は大切ですが、無理は禁物です。
…筆者、透佳(スミカ)
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