忖度なしでどストレートに物申したり叱るべきところでは激しく叱ったりする「人気取り」とは対極に位置する塾講師もこの世には存在する。
実は「嫌われる」は「畏れられる」と紙一重であり、生徒から目の敵にされる塾講師は一見良くなさそうだがいざという時に極めて強い。
愛をベースにして言うべきことをしっかり言い、そのためには嫌われても構わないという覚悟と信念のある塾講師の言うことは真剣な生徒には響く。
【追伸】
私の学生自体にこんな先生がいた。
その先生は国語の先生だったのだが、
「そういう時はこうすべき」というのを遠慮なくズバズバ指摘してくる先生だった。
「どうしてこれを見落とすの?」
「どうしてここを読んでないの?」
「どうしてそんな風に思ったの?」
私はよくこうやって集中砲火を食らったものだ。
ひとたび私が
「この言葉ってどういう意味ですか」
と聞こうものなら、
「まずは君が今そこに持っている辞書で調べてから聞け」
「人に聞かなくても分かることをわざわざ聞くんじゃない」
「質問のための質問をするな」
と毎度毎度フルボッコにされたものだ。
今思い返してみれば、
私が国語(ひいては英語)という科目が嫌い&苦手にならなかったのはこの先生のおかげだ。
「まずは自分の頭で考えるべき」
「何を問われているかを常に考えろ」
「どうしてそこに至ったのか説明しろ」
こういった考え方は私が教える側になった今でも活きている。
正直、この先生は当時の私は嫌いだったと思う。
「なんだこの野郎」と会うたびに思っていた(失礼!)。
だが今なら分かる。
その場の好きとか嫌いとかどうでもいいから、
言うべきことをしっかり言ってくれる先生はとてもありがたいのだと。
これは私も塾講師として死守している。
「これを言ったらその子傷ついたりしないかな…」というのは、
本当はその子を気遣っているのではなく
それを言うことによって自分が嫌われるのが怖いだけなのだ。
最初から嫌われる覚悟なら、そんなことは一切心配しなくてもいい。
それ以来、私は迷ったら伝えるようにしてきた。
嫌われようがなんだろうが、
言うべきことは確実に言って生徒を導くのが講師の役割なのだから。
…筆者、透佳(スミカ)
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