昨日の記事でも書いたが、過剰に与えすぎることは生徒の自立心・向上心を奪う。
そういう意味では、この世の9割方の学習塾が訴求しているような「つきっきり」「分かるまでみっちり」「一人一人にきめ細かい指導」が全ての生徒にとって必ずしも良いとは限らない。
むしろ、子供が自分から進んで学ぶような環境を整えることに徹する「裏方」の塾があっていい。
【追伸】
これは以前、個別指導の塾で勤めていた際や
それ以前・生徒として在籍していた頃からそう感じていたのだが、
「つきっきり」タイプの先生の教え子が全員成績が良いわけではなかったし
むしろ「ちょっと手を放されすぎじゃないの?」という子の方が伸びていたりする。
個別指導塾は「1:1」と「1:2」という2つの形態があるのが基本だ。
「1:1」は先生一人に生徒一人。
「1:2」は先生一人に生徒二人。
合理的に考えれば、1:1の方が生徒に教える時間が2倍になるから
その分学習効果も2倍になる、と考えるのが自然だ。
かつての私もそう思っていた。
だが、現場で見た事実をありのまま公開しよう。
「1:1」の生徒は何かと理由をつけてサボりがちだったのに対し、
「1:2」の生徒は先生がもう一人の生徒についている間に
「何かしらの成果物を見せなきゃ」と頑張っている傾向が強かった。
もちろん個別に見れば例外はあるが、確率としては圧倒的だった。
「1:1なら絶対にサボらない」と考えるのは少し甘い。
子供からしてみれば、1:1というのは
授業時間内、何があっても逃げられないということなのだ。
ずっと隣で監視されているのだから当たり前である。
この場合、
- 先生に依存して質問するようになるからパフォーマンスが落ちる
- 余計なプレッシャーを感じてパフォーマンスが落ちる
この2パターンが非常に多く見受けられた。
「1:2だと先生に見てもらえる時間が半分だからソン」というのも少し甘い。
これは全ての学習においてそうだが、
「話を聞く時間」と「問題を解く時間」は両方必ず必要だ。
前者では先生についてもらって、
後者ではそれを元に一人で黙々と問題を解く。
「1:2」というのは実に理にかなったシステムなのだ。
これは個別指導塾の話だが、集団塾でも大きくは変わらない。
現時点で成績が良い子はクラスが何人だろうとあまり関係ないが、
現時点で悪い子というのはクラスの人数が少なすぎても多すぎてもいけない。
少なすぎるとつきっきりになるから依存心が生じる。
多すぎると手が回らなくなるから適切な指導ができなくなる。
だが一つ、間違いなく言えるのは
「少なければ少ない方がいい」という訳では断じてない
ということだ。
…筆者、透佳(スミカ)
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