今日も巷には英語学習のリスニング教材が溢れています。
どんな本屋にも英語学習本はほぼ必ず置いてあります。
それだけ市場が大きいということであり、また同時に激戦区でもあります。
私自身の著作を棚に上げて言えば、
商業出版されて店頭に並んでいる時点でどれも極めて優秀な教材です。
優秀でなければ出版されることも、ましてや陳列されることも一生叶いません。
その上で、一つ気をつけておきたい点があります。
それは、やはり教材は教材であるという点です。
第二言語として学ぶ人の学習を目的としている以上、
学習者が全く聞き取れないスピードや抑揚の文章は絶対に収録できません。
もしそんなものを収録してしまうと、
「この音声の英語はなんだ!全く分からないぞ!」とクレームになります。
そういった意味で、教材は教材の域を出ないのです。
教材向けではない、いわゆる「リアルの英語」を求めて
ドラマや映画・TEDスピーチなどを学習教材として使っている方は多いでしょう。
「サラリーマンが主人公の映画一本でビジネス英会話を覚える」なんて勉強法もあるくらいです。
ですが、これらには一つ共通点があります。
話している方がみな、「話すプロ」であるという点です。
ドラマや映画の俳優さんはもちろんのこと、
TEDスピーチのプレゼンターも人に聴かせるための練習をこれでもかと行っています。
聞き手に正しく聴き取ってもらえなかったら商売にならないからです。
確かに教材本と比べるとスピードは速いですが、それでも聴き取りやすい方です。
ですが、海外留学では実際に現地民の一人として暮らすことになります。
話のプロではない、一般人の英語を聴き取れる力が必要です。
アメリカでは4年に一度、大統領選挙が行われます。
大統領候補の政治家たちは、元々話がうまい上にスピーチの先生に日頃からしごかれています。
話す内容も事前に完璧に計画されています。
問題は、その取り巻きの聴衆の方がインタビューされるときです。
何を言っているかが、全く分かりません。
当たり前ですが素人なので、「相手に聴き取ってもらおう」なんて気遣いは一切していません。
普段から話しているそのままのペース・トーンで
心に浮かんできたことをそのままダーっと話します。
普段、英語教材のパッケージングされた英語に慣れている人は相当苦労するでしょう。
ですが、これが本物の「活きた英語」なのです。
ぜひ、こういった「ふつうの人の英語」に触れておくことをオススメします。
…筆者、透佳(スミカ)
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