誤読してもらいたくないが、伸びるのではなくて伸びなくなる。
なぜなら、あらゆる方向から最高の環境を整えてあげると子供の依存心がマックスになるからだ。
「どうせ聞けば答えてくれる」「できなくてもやってくれる」という過保護への依存心は、学力アップにとって最大の敵である。
【追伸】
英会話教室には一つの「法則」がある。
それは
続きやすいと続かない
ということだ。
当たり前だが、英会話教室は継続的に通ってもらわないとお話にならない。
短期間での習得を目指す短期集中型・コーチング型なら尚更だ。
そこで英会話教室は、
「いつでもレッスンの予約がとれます」
「いつでも講師やスタッフへの質問を受け付けます」
「ご自宅でも、オンラインで受講できます」
と、実際にレッスンを受けるための障害・ハードルをとことん取り除こうとする。
その結果どうなったか。
受講率が下がるのである。
経営の裏方という仕事柄、もちろん即座に原因を分析した。
その結果判明したのは、
あまりに気軽に受けられてしまうと、人生におけるレッスンの優先順位が下がる
ということだった。
英会話がこの世で一番大事、という人はともかく
大半の人は日常の生活がある中の一つとして英会話を学んでいる。
「この時間は買い物をして…」
「この時間は読書をして…」
「この時間は子供の迎えに行って…」
など、それぞれのスケジュールがある。
概して、それらは全て時間が固定されている。
それに比べると、
「いつでもいい」
「いつ、というのが決められていない」
というレッスンはどうしても後回しになってしまう。
24時間営業のコンビニと同じで、
「どうせいつでも開いているのだからいつか行けばいいだろう」
という心理が働くのだ。
こうやって足が遠のいていく。
もちろん便利さは必要だ。
せっかく予約しようとしているのに使いづらい・予約できないでは意味がない。
だが、現場で私が感じていたのは
便利すぎると、人はそれに甘えて怠惰になる
という事実だった。
さて、学習塾の話だった。
分かりやすい授業は大切だ。
学習環境を整えることも大切だ。
適切な情報・アドバイスを選んで与えることも大切だ。
だがその上で、学習塾講師として肌で感じるのは
こちらからあまりに与えすぎると定着が悪くなる
ということだ。
それに感謝がなくなるのだ。
「教えてもらって・尽くしてもらって当たり前」
という考え方になる。
そんな受け身・依存心の塊では何も身に付かない。
「ここはこうだから、こうして、こうやって解く」
というのを最終的には生徒自ら考えられる必要がある。
当たり前だが、実際に問題を解くのは生徒自身だからだ。
最終的には自立しなければならない。
ある程度の放任主義も不可欠である。
過ぎたるは猶及ばざるが如し
という言葉の真の意味を私は学習塾から学んだかもしれない。
【追伸の追伸】
塾講師って担当科目に熱い人が多いから、
授業帰りの生徒をとっ捕まえて補習攻めしたくて毎日ウズウズしている。
だがそこでやってしまったら終わりだ。
私は塾講師として、
乞われない限り絶対に教えない
というルールだけは死守している。
…筆者、透佳(スミカ)
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