特に塾に来たての生徒を見ていてよくある現象が、
配られた問題集にそのまま答えを書き込んでしまうということです。
これを見て「問題集には書き込むな!」と講師が生徒を注意するのは塾あるあるです。
書き込むことを前提として作られている塾教材も世の中には一部存在しますが、
大半の問題集・塾教材には直接書き込むことはお勧めしません。
良い・悪いの問題ではなく、もったいないのです。
書き込んでしまうと、もうその問題は二度と解けなくなってしまうからです。
後で見直し・復習・テスト前のおさらいとしてもう一度そのページを見たときに、
そこには思いっきり答えと途中式が丸付け・赤ペンまで入れられた状態で残されています。
嫌でも目に入ります。
当たり前の話ですが、答えがそこに書いてあるものをもう一度解くことはできません。
解いている最中に書き込まれた答えが嫌でも目に入ってくるからです。
ですが問題を別のノートに解く習慣をつけておけば、問題集の方は真っ白です。
後から見返したときに、またまっさらな状態で解き直すことができます。
こういう話をすると
「え!問題集って何周もするものなんですか!」という反応をする生徒が時折いて、
逆に私の方が驚いてしまいます。
それは勉強ができる子からしたら周回遅れもいいところです。
勉強ができる子は何百冊も教材をこなすのではなく、限られた教材を徹底的にやりこみます。
問題を一瞥した瞬間に
「あぁ、これはこのパターンでこうやって解くんだな」
とパパッと頭に浮かんでしかもそれを人に分かりやすく説明できる状態です。
ここまでの状態になれば、そりゃあテストなんてできるようになるに決まっています。
逆に言えば、これができないからテストで点数が取れるようにならないのです。
ダメな生徒に限って、「問題は一度解けばもう大丈夫」と考えています。
それは大きな勘違いです。
現時点で優秀な子ですら、何周も反復してその教材を自分のものにしているのです。
つまり決して優秀ではない子は、せめてその優秀な子と同じぐらい頑張る必要があります。
そうしないと差は埋まらないどころか、日々広がっていくばかりです。
試しに以前解かせたことがある問題の類題(というよりほぼ同じ)を刷ってきて
こういった生徒に解かせてみると、まるでできません。
これはその生徒の学力が低いからではありません。
一回で全部覚えようとして、それが実際にはできていないからこうなるのです。
これを解決するためには、「前にもやったから」とバカにせずに
同じ内容の問題を二周・三周とやり込んでしっかり自分のものにすることです。
そのためにも、問題集には直接答えを書き込まないのが原則なのです。
…筆者、透佳(スミカ)
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