海外留学のリーディングは、ただでさえ量と内容が難関です。
そしてそこに追い打ちをかけるのが、文法です。
当たり前ですが、海外で読む文献の大半はネイティブが書いたものです。
ノンネイティブがあまり学習していない英文法もガンガン出てきます。
その筆頭となるのが、倒置・仮定法・分詞構文です。
まず倒置に関して、
「副詞やifなどを文の先頭に持ってきて、主語と述語をひっくり返す」
という基礎ルールですら怪しい日本人も少なくないでしょう。
一番シンプルな例は
So am I.
です。
これは、元々
I am so.
という文だったのが、soを「まさにそうだよ!」と強調させるために
Soを先頭に持ってきた上でI(主語)とam(述語)の順番を逆にしています。
ここで
「So am Iは決まり文句だから、例外としてこういう語順なんだよ」
と丸暗記してしまうともう倒置は手に負えなくなります。
他にも、
I found it only this morning.
→Only this morning did I find it.
If I were you, I would not do that.
→Were I you, I would not do that.
こういった倒置が文章で続々と登場します。
これら一つ一つを「そういうものだから」と丸暗記するのは無理です。
しっかり仕組みを理解した上で読みこなせるようにしておきましょう。
次に仮定法ですが、「もし〜なら」という日本語の意味に引っ張られて
「ifが出てきたら仮定法」
という見分け方をしている日本人が非常に多いのです。
仮定法の目印はifではなく、助動詞の過去形です。
助動詞の過去形さえあれば、ifなんてなくても仮定法になります。
I would think…(…だろうなあ)と話し始めるネイティブは想像以上に多いです。
日本語で「もし〜なら」なんて言わなくても
「〜だろうなあ」と言えば例えば(仮定)の話をしている、となるのと同じです。
Could you~?やWould you~?がより丁寧な表現とされているのも、
「もしそうであれば…」という仮定の意味が隠されているためです。
最後に、分詞構文です。
Generally speaking…
(一般的に言うと…)
Technically speaking…
(厳密に言うと…)
Speaking of ~ …
(〜について言うと…)
Spoken in many countries…
(多くの国々で話されて…)
学校英語の文法書ではすっかり「例外」扱いされている分詞構文ですが、
ネイティブは文字通りガンガン使います。
リアルタイムで正しく意味を伝える必要がある会話では「稀に」という程度ですが、
活字ではまさに呼吸の如く分詞構文を使った文章が登場します。
「伝えるべきことはちゃんと伝える」というのが英米人の基本的思想ですが、
分詞構文に関しては
「Becauseもwhenもwhileも、大体同じようなもんだろ」
とばかりに多用してくる傾向があります。
これら、倒置・仮定法・分詞構文は、
「細かい文法なんていいんだよ」と英文法を疎かにしがちな人が特にドツボにはまります。
中学レベルのヤサシイ文法だけでどうにかなるのは、会話です。
活字のやりとりでは、難しい文法も理解しておく必要があるのです。
…筆者、透佳(スミカ)
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